ホテルの閑散期における集客対策
by Sunshine

ホテルの閑散期は、業界全体が陥る売上不振の時期として考えられてきました。旅行客が少ないので売上が下がるのは当たり前、そのような考え方が通説だったのです。

しかし、閑散期だからといって、売上の減少を甘んじて受け入れる必要はありません。

「閑散期対策をしているけど、なかなか売上が伸びない」

「閑散期に有効な対策って何だろう」

このような悩みはありませんか?

ホテルの閑散期でも収益を上げるためのヒント
ホテルの閑散期に出来ることはなんだろう・・・

成功している集客対策の根底には、深い分析と洞察があります。閑散期に対する考え方を変えてみてください。ピンチをチャンスと捉える姿勢で臨み、試行錯誤の策を打ち出しましょう。

この記事では、閑散期でも顧客を惹きつけて売上を伸ばす集客対策を、具体例を挙げながらご紹介しています。

あなたもきっと、逆境とされる閑散期を最大限に活かせるようになります。

1. 閑散期の時期を正確に予測する

最初の重要なステップは、閑散期を正確に予測すること。これにより閑散期の収支を明確に把握でき、閑散期対策の足がかりとなります。

部門間のパフォーマンス管理、事業目標の実行、全体計画の策定など、マネジメントにおいて大いに役立つでしょう。

正確な予測に基づいた対策は、閑散期に稼働率が低くなる傾向を食い止め、稼働率を上げていくために欠かせないステップです。

2. 新たなターゲット層を増やす

ホテルには、主となるターゲット層を持っていますよね。ビジネスホテルなら出張ビジネスマン、温泉旅館ならリタイア世代、おしゃれなホステルなら学生や20代の若者、といったように。

ターゲットを絞って魅力的な商品をアピールすることは、マーケティングの基本です。万人受けする商品をアピールしても、結局は誰も惹きつけていないということは往々にしてあります。魅力的であり続けるためには、各ターゲット層にバランスよくアピールし、特定のターゲット層を取りこぼさないようにすることが重要です。

閑散期は、新たなターゲット層を開拓するのにぴったりな時期です。これまでとは視点を変えて、ターゲット層を見つけましょう。

ここで紹介する視点を参考に、あなたのホテルに合いそうな新たなターゲット層はいないか確認してください。

多様化する旅行

近年、従来のビジネスやレジャー目的以外のニッチな旅行需要が増えてきています。働き方や価値観の変化に伴い、旅行は多様化していきているのです。

新しくニッチな旅行ジャンルを素早くとらえ、新たなターゲット層を予測しましょう。

ウェルネス旅行

心身の健康に焦点を当てた旅行。

ストレス社会の日本では、うつ病などの気分障害の罹患率は年々増えています。このような流れに合わせたように「癒し」や「リフレッシュ」目的の旅行が現れてきました。

具体的には、ヨガや森林浴などのワークショップ、ビーガンやマクロビオティックなど食事を提供するサービス、湯治や鍼灸などの伝統的な健康法を伴う旅行です。

ウェルネルに着目したホテル旅行の需要など新しい旅のトレンドをホテルマーケティングや顧客のターゲティングに取り入れる
新しい旅のトレンドとしてウェルネル旅行を意識する

ワーケーション

仕事と休暇の両方を一度に楽しめる旅行のことで、ワークとバケーションを組み合わせた造語。出張先で休暇を取る、休暇先で仕事をするといった、ビジネスとレジャーを融合したものを指します。

日本では、ワーケーションの普及を目的とした「ワーケーション自治体協議会」が2019年11月に発足しました。参加自治体は99と、発足直後から増加し続けています。

テレワークが増えている中、ワーケーション需要はますます大きくなるでしょう。

団塊世代の旅行

世界中の平均寿命が伸びている中で、団塊世代は非常に有力なターゲット層。日本では団塊世代の人口が最も多く、そのほとんどが定年を迎えています。

自由な時間が増え、時間の融通がきく団塊世代の旅行は、閑散期には理想的な大型ターゲット層といえるでしょう。

ペット連れ旅行

ペット連れでも安心して泊まれるホテルにすることで、旅行の度にペットを置いていかなければならないと悩む飼い主を惹きつけることができます。

ペットに必要なペット用トイレ、ペットフード、おもちゃなどをそろえることで、旅行を敬遠しがちなペット連れのゲストもターゲットとできるでしょう。

子連れ家族旅行

昔から定番の家族旅行。しかし、その中身は大きく変わっています。家族構成や家族のあり方が多様化してきている昨今、家族旅行に求められているものは何なのかを常に意識する必要があります。

時代に合わせたファミリー向けプランは、閑散期の宿泊率を高めるのに最適な方法のひとつです。

ご褒美旅行

働く女性の間では、日頃のがんばりのご褒美としてホテルに滞在することも増えています。観光目的ではなく、休みの日にホテルでゆっくりしたいというニーズが特徴です。スパや岩盤浴、おしゃれな食事などホテル内で楽しめる内容のプランで、惹きつけることができるでしょう。

ご褒美旅行としてホテルに滞在するターゲット層が閑散期の新しいターゲットになるかもしれない
ご褒美旅行をするターゲット層を新たに開拓する

宿泊客以外のターゲット層

閑散期には、宿泊客だけでなく、さまざまな潜在的な顧客に目を向けるべきでしょう。

たとえば、ビジネストラベルに代表的なMICE。

・Meeting(会議、研修、セミナー)

・Incentive tour(報奨、招待旅行)

・Conference(大会、学会、国際会議)

・Exhibition(展示会)

これらは、一度に動員する人数と消費額が大きいことから、経済効果が特に期待されています。

他にも、

・フィットネス付きテレワークオフィスの提供

・コワーキングスペースの提供

・結婚パーティ

・ワークショップ

・デイユース…など

閑散期だからこそできるサービスを提供してみてはいかがでしょうか。

ホテルなので宿泊客だけに意識がいってしまいますが、柔軟に考え発想を広げることも重要です。閑散期は、サイドビジネスを拡大する最大のチャンスなのです。

とはいえ、やみくもに色々なサービスを提供するだけでは収益をあげることはできません。効果的なサービスを提供するためには、まず現在の顧客データを分析することから始めます。顧客の中に、これらのサービスに興味を持っていそうな顧客がいるかどうかを確認し、潜在的なニーズに合ったサービスを打ち出しましょう。

地の利を活かしたターゲット層

ホテルの持つ地理や気候を活かしたターゲット層を狙うこともできます。

例えば、夏の北海道のホテルであれば、避暑地として暑い地域からの顧客をターゲットにできます。

片道1-2時間で行けるマイクロツーリズムがトレンドならば、隣接する県をターゲットにすれば効果的に集客できるでしょう。

世代別のターゲット層

世代ごとに、旅行に対する意識やニーズは異なります。

まずは、世代ごとの年間旅行回数をチェックしましょう。

・ℤ世代(~20台前半)  4.4回

・ミレニアル世代(20代後半~30代)  5.6回

・Ⅹ世代(40代~50代)  4.0回

・団塊世代(60代~) 3.5回

上記の通り、現在はミレニアル世代が最多ですが、トレンドとは常に変化しています。ホテル経営にあたっては、その変化を見逃さないように常に目を配る必要があります。

そして、世代によって求めているホテルのサービスは異なります。

世代ごとに旅行に対する意識も頻度も異なる。団塊の世代の旅行回数はミレニアル世代より低くなっており、世代によって旅行消費のトレンドが異なる
団塊の世代の旅行消費のトレンドはミレニアル世代とは異なる

例えば、自由な時間が豊富な団塊世代と、仕事の合間で旅行をするミレニアル世代とでは、必要なサービスは大きく異なりますよね。

ターゲット層によって異なるニーズを明らかにすれば、それに応じたプランを作成できます。団塊世代に対しては、定年退職後の長期滞在型パッケージを打ち出し、博物館見学、ウォーキングツアー、試食会などのアクティビティも提供するのも良いですね。

特定のグループのターゲット層

ひとつのターゲット層を、さらに絞り込んでアプローチすることもできます。

例1)65歳以上の人の35%は障害を持っています。

この【何らかの障害を持つ65歳以上のターゲット層】に対して、

・バリアフリーの導入および改善

・スタッフへの基本的な介助方法の指導

・エレベーターやスロープのある観光施設紹介

・街の多目的トイレマップの提供

・入浴介助サービスの導入

例2)令和元年の保育所等の待機児童数は16,772人。

この【小さい子供を抱える忙しいママ層】に対して、

・授乳室やおむつ交換台のある施設紹介

・個室のあるカフェや飲食の案内

・ベビーカー/ベビーベッド/ベビーバスの貸出

・ベビーシッター付きプラン

このようなサービスを提供し、思いやりのあるホテルとして差別化することが可能です。

特定のグループの視点は、組織内で考えていても良いアイディアはなかなか思い浮かびません。

実際の宿泊客に障害を持つ高齢者がいれば、直接改善点やニーズを聞き出せます。

また、人脈の中に保育関係者がいれば知見を乞うこともできます。

特定のグループにはさまざまな種類があります。上記の例だけでなく、引越前の下見としての滞在人気漫画の聖地巡礼をしたいファン、などアイディアは無限大です。色んな視点に立って考えてみましょう。

これらのアプローチは、SNSやブログのトピックとなり、将来の顧客を惹きつける上で大いに役立つでしょう。

3. デジタルマーケティングの効果を最大化する

デジタルマーケティングとは、インターネットや電子デバイスを用いたマーケティングのこと。

閑散期だからこそ、デジタルマーケティングの導入あるいは改良をしてみましょう。

ホテルの閑散期の集客対策としてデジタルマーケティングを最大限に活用する
閑散期だからこそデジタルマーケティングの効果を最大化する

具体的には下記のようなものがあります。

・web広告を出す

・メルマガ配信

・SNS発信

・顧客への個別メール

・予約サイト上でのレビュー返信…など

しかし、ただ単に広告を出したり、インスタグラムで発信したりすればよいというものではありません。その効果を最大限に出すためには、日々分析し、傾向に合わせてマーケティングを更新改善していくことが重要です。

デジタルマーケティングにおける戦略ひとつひとつの効果を最大限にすることで、閑散期の収益を大きくあげることが期待できます。戦略には下記のようなものがあります。

・SEO(検索エンジン最適化)対策

 Google検索や大規模な検索エンジンにおいて、ホテルが上位表示されるようにする戦略。

・ロングテールキーワード戦略

 競合の少ないロングテールキーワードを狙って、検索エンジンマーケティングを強化す る戦略。ロングテールキーワードとは3~4単語を組み合わせたキーワード。

・リターゲティング広告

 一度自社サイトへ訪問したことがあるユーザーに対して、再度広告を表示しアプローチをかける戦略。追従型広告ともいう。

4. 型にはまらない価格戦略をする

集客する手段として、価格を下げることを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、価格を下げる前に次のことを考えてみてください。

他サービスと連携したパッケージ

あなたのホテルと近しい魅力的なサービスと連携して、新たなパッケージやプロモーションを行いましょう。

効果的な連携ができるサービスには、同じ地域であることを前提として、次のようなものが挙げられます。

・美術館やテーマパーク

・ホテルから徒歩圏の飲食店

・観光地の施設や飲食店

・レンタサイクル屋、レンタカー屋

このような地元の企業や事業主と提携して割引や特典などを付けると効果的です。

これをきっかけに、テーマパークや飲食店それぞれのファンにホテルを認知してもらうことができ、新たな顧客へと繋がるでしょう。

ホテル周辺の地域全体で魅力を発信することで相乗効果が得られるのです。

リピーター優待

あなたのホテルのファンに恩返しできような仕組みを提供しましょう。例えばポイントカード。リピーターや定期的な来店を促進する効果が期待できます。

来店回数に応じた特典として、

・バーでの無料ドリンク

・ウェルカムギフト

・無料グレードアップ

・次回の滞在時の割引

などを付けることができます。

適正な値下げ

値下げは、競合ホテルに対抗し、値段に敏感な顧客を集めるには効果的な手段です。

しかし、値下げが必ずしも万能な手段とは限りません。

必ずホテルのブランドとイメージを念頭に置いたうえで、意識的に値下げを実施してください。やみくもな値下げは、ホテルのブランドイメージを傷つける可能性があります。

特に重要なのは、値下げが考え抜かれた特別なものとして打ち出すことです。ただ単に顧客を惹きつけるための安直な手段としてはいけません。

5. スタッフ教育とホテル運営を見直す

閑散期は、スタッフ教育やホテル運営を見直す絶好の機会です。まず、顧客に接するスタッフには、職種ごとにトレーニングを行いましょう。

例えば、フロントデスクのスタッフには、部屋のアップグレード促進に関するトレーニングを。バーやレストランのスタッフには、クロスセリングやアップセルのトレーニングを。

このような教育を実施することで、顧客単価をあげて増収を目指します。

※クロスセリングとは?:
関連商品の購入を促すこと。例)カメラ購入者にプリンタ購入もすすめる。

※アップセリングとは?:
価格の高い商品の購入を促すこと。例)カメラ購入希望者に、より高性能で高価格のカメラを勧める。

顧客単価を上げるためにホテルのフロントデスクのスタッフなどに教育をしてトレーニングを施す
スタッフの役割ごとに顧客単価を上げるためのトレーニングを行う

次に、積極的にゲストのフィードバックを見直しましょう。

ゲストの体験と評価スコアを管理・分析し、ホテルの改善点を見つけることができます。客観的な視点で、評価スコアの各項目を確認し、どこのサービスに改善の余地があるのかを深く洞察できます。

このように、閑散期にはいつもより深く丁寧に、ホテルを見つめ直す良い機会です。

日々の業務に追われてできていなかったことや現場で課題に感じていたことを、改めて腰を据えて取り組んでみてはいかがでしょうか。

それが、長期的な収益の増加に繋がります。

閑散期に対するホテルの対策

多くのホテルは、繁忙期と閑散期という売上の大幅な変動を、仕方のないこととして受け入れています。これでは、自分以外の何者かに振り回されているのと同じです。

もっと主体的に、自分の力でコントロールする努力をしましょう。

先を見越した戦略的な計画を立てれば、ホテルの種類や季節に関係なく、閑散期の成功をおさめることができます。

*この記事は、Xotelsの協力をもとにWASIMILが翻訳・編集を行ったものです。
オリジナル記事: “How to Increase Hotel Sales during Low Season