Blog
マーケティング

中小ホテルのためのSNS運用5つのヒント

Written by:
Mayumi Nishimo
February 9, 2024

中小ホテルが集客を伸ばすためには、マーケティングにおいてどのような施策が必要なのでしょうか。

中小ホテルにとって、SNSマーケティングは非常に重要。SNS上で一貫性のある世界観や、ホテルのブランディングに沿った魅力的でハイクオリティなコンテンツを定期的に発信することで、大きな集客UP効果を見込むことができます。

今回の記事では、中小ホテルがSNSを運用する上で意識するべき5つのヒントについて解説していきます。

この記事を読むことで、

・ユーザーにとって魅力的でクリエイティブなコンテンツを発信していくための方法

・最終的な目標である「集客UP」繋げるにはどうすれば良いか

などについて理解を深めることができます。あなたのホテルを今以上に成功させるためにも、知っておくととても役に立つ内容が満載です。

中小ホテルがSNS運用時に注意すべき5つのヒント

1.中小ホテルの魅力を旅行者にアピールする

中小規模のホテルが、一人でも多くの旅行者にそのホテルの魅力を伝えたい場合、どのようなアピールをすれば良いのでしょうか。

SNSは、情報を一方的に発信するWebサイトとは異なり、ホテルとユーザーの双方向のコミュニケーションを可能にしている点が大きな強みとなります。

印象に強く残るほど感動的な体験をした顧客は、SNS上でその体験をシェアしてくれる可能性が大いにありますし、それを見た人が、「素敵なホテルっぽいから行ってみたいな」という気持ちになることもあるでしょう。これはSNSがうまく作用する代表的な例です。

すなわち、ホテルの魅力を旅行者にアピールするためには、「思わずシェアしたくなるほどの感動体験」を顧客に与えることが重要となります。

まず、あなたのホテルの優れている点を挙げ、それらの強みについて再認識しましょう。例として中小ホテルがアピールしやすい2つの「強み」を紹介しておきます。

強み①特別感のあるホスピタリティ

中小ホテルは、大手ホテルチェーンとは異なります。大手ホテルチェーンなら、全てのホテルにて種類の豊富なアメニティを用意したり、一律料金を設定したりするなどの施策が可能です。

一方で、中小ホテルでは「大手ホテルチェーンでは現実的にできないこと」を可能にできることが多々あります。そのひとつの例として、「特別なホスピタリティ」などが挙げられます。例えば以下のようなサービスですね。

・チェックイン時にウェルカムギフトを渡す

・感謝の気持ちを込めた手書きのメッセージを客室に入れる

このような細やかなサービスは規模の大きすぎないホテルの方が実現させやすいでしょう。

強み②シェアせずにいられないオシャレな客室

また、中小ホテルなら以下のような企画も考えられます。

・客室の間取りを変えてみる

・アートで空間を彩り非日常的な雰囲気を演出する

・スタイリッシュなデザインのミニバーを用意する

このような企画については、普段から工夫して取り組んでいるホテルもきっと多いはず。これらはゲストの感動体験に繋がり、「忘れられない思い出」としてゲストの記憶に強く残り続けます。

オシャレな客室に一歩足を踏み入れたその瞬間、写真を撮りInstagramに投稿したくなる、そんな客室を考えてみるのもそのひとつ。

記憶に強く残る体験をしたゲストは、SNS上でその体験をシェアしてくれる可能性があります。このようなSNS上の拡散は、実体験に基づく情報としてかなり効果の高い宣伝広告の役割を果たしてくれるのです。

一貫したブランドコンセプトを持つ中小ホテルのSNSマーケティングをスタートするときには、顧客によるSNS拡散も想定して施策を練っていく必要があります。

2.ホテルの世界観をビジュアルで表現する

ホテルのSNSマーケティングにおいて最も重要なことの1つに、「宿泊予約をする前のSNSユーザーに対して、ホテルの世界観をビジュアルで直感的に伝える」ことが挙げられます。

ホテルの世界観をビジュアルで伝えること自体は、決して難しいことではありません。例えばInstagramの場合、ユーザーがホテルの公式アカウントをフォローすることで、ホテルの投稿(ポスト)がフォロワーのタイムラインに自動的に表示されます。

例として、Instagram上でホテルの世界観がうまく伝わる作り込みができている2つのホテルのフィード投稿画面を掲載しておきましょう。

例①WITH THE STYLE FUKUOKA @withthestyle

WITH THE STYLE FUKUOKA ホテルリゾート

例②アマン東京 @aman_tokyo

Aman Tokyo ホテルリゾート


統一された世界観がとても美しく「センスの良いホテルだな」と誰がみても思えるような完成度ですね。

重要なのは、世界観を崩しかねない画像や動画を使わないこと。投稿した写真の中にひとつでもホテルのブランドアイデンティから外れた写真や動画があると、フォロワーを減らす要因になりかねません。フォロワーの減少は減少UPを目指す上で可能な限り避けておきたいところ。

ホテルのブランディングやポリシーをしっかりと分析し、その世界観に沿った写真や動画の投稿を行っていく必要があります。

3. 投稿コンテンツの品質を上げる

SNS投稿時には、コンテンツの品質にもこだわる必要があります。先ほどもお伝えしたとおり、写真や動画の世界観を統一させることはとても大切。ですが、それだけでコンテンツを選定するとうまくいかない場合もあります。

コンテンツを作成するためには、以下の3点に注意しましょう。

1. 単なる「広告」になっていないか

多少の広告宣伝的な投稿は問題ありませんが、フォロワーに対してメリットが伝わらない投稿や、興味を持ってもらえない投稿はスルーされてしまいがち。最悪の場合フォローを外されてしまう可能性もあるため注意が必要です。

2. 複数のSNSへ同時投稿するプロモーションは多用しない

複数のSNSアプリケーションを利用して投稿するクロスメディアプロモーションは、フォロワーのフィルタ設定により投稿が表示されないことも。Facebookのフォロワーは、効率的で有益な情報や体験を求めています。つまり、ホテル側からの謳い文句を感じさせるような一方的な宣伝には、あまり関心を寄せないのがSNSユーザーに見られる傾向です。

3. カジュアルな発信・ビジネス目線での発信の線引き

SNSユーザーは、投稿者がカジュアルに発信しているのか、ビジネス目線で発信しているのかを敏感に判別しています。ユーザーに指示されているソーシャルメディアにおいては、企業が投稿者のキャラクターを前面に出す場合もありますが、しっかり線引きをする必要があります。

SNSでは、フォロワーが必ずしも全ての投稿をもれなく見てくれているとは限りません。

大切なのは、一方的な発信にならないように意識すること。一貫した世界観を受け継ぐようなブランドメッセージを効果的に発信し続けることができれば、フォロワー以外のユーザーへのアプローチも可能になります。

例えば、コンラッド東京 (@conrad_tokyo)の公式Instagramがこちら。圧倒的にオシャレな世界観を伝えることができているもの。単なる宣伝ではなく、自分自身が滞在したときのイメージも湧きやすくなっています。

例①コンラッド東京 (@conrad_tokyo)

コンラッド東京 / Conrad Tokyo


エンゲージメント率を意識する

 コンテンツの質が上がればエンゲージメント率も高くなります。エンゲージメント率とは、SNS上でホテル側が発信したコンテンツに対して、ユーザーが何かしらの反応を示す(コメント・いいね・シェアなど)割合のことです。

エンゲージメント率の計算式は以下の通り。

エンゲージメント率=(いいね!合計 + コメント合計)÷ 投稿数 ÷ フォロワー数

参考までにお伝えしておくと、例えばANAやJALのInstagramアカウントは、フォロワー数20万人台でエンゲージメント率が4.3〜4.7%あたりと言われています。

案外高くないと思うかもしれませんが、フォロワー数が多ければエンゲージメント率を上げることがかなり難しくなるため、有名企業のアカウントでも数値は低めです。

エンゲージメント率をUPさせることを常に念頭に置いて、コンテンツを作成しましょう。

SNS運用を効果的に行っている中小ホテルでは、ソーシャルメディアマーケティングの基本を理解した上で運用を行っています。

投稿に対するユーザーの反応が多ければ多いほど、そのホテルに対して愛着を持つユーザーが多いことになります。つまり、エンゲージメントとは、ユーザーがホテルに対してどれだけの関心、愛着を持っているかを示す数字なのです。

SNS運用を効果的に行っているかどうかを判断する際にも、エンゲージメント率は大きな指標となります。

SNSごとの特性に合ったコンテンツを配信する

ホテルのSNS運用においてよくありがちなのが、SNSやブログ、口コミサイトなど複数のメディアに同じ情報を発信するという方法。

もちろんコンテンツ作成の手間を考えれば、1つのコンテンツを多方面へ発信する方が、個々に別々のコンテンツを作成するよりも楽でしょう。

もちろん、InstagramだけよりもInstagramとFacebook、など複数のSNSを使用する方が、マーケティングの成果は上がりやすくなり、エンゲージメント増加に繋がりやすいため、この点は間違いなくおすすめします。

しかし、各メディアごとにその特性も異なることや、ユーザーが複数のメディアやSNSをフォローしてくれていることを想定すると、常に同じ情報を複数のSNSに投稿するのが必ずしも良いこととは言えません。

Instagramなら視覚的に訴える方が良い、Facebookなら文章にもこだわった方が良い、Twitterなら短い文章で効果的にアピールする方が良い、など特性ごとにコンテンツを考えましょう。

4. SNSごとの特性を踏まえながら差別化を考える

SNSにはさまざまなものがありますが、それぞれに特徴は異なります。

ホテルのSNS運用において、そのアイデアを考える際には、SNSごとの特性や機能、そしてユーザーの動向の違いを把握した上で、有効に使い分けていく必要があります。

その結果、「この投稿はInstagramならいいけれど、Facebookならいまいちかも」というように、投稿内容によって得られる効果がSNSごとに変わってくるのです。

何にしても、SNSごとの特徴を理解せずにSNS運用の成功はありません。差別化ができるようになるためにも、ここで改めて代表的な3つのSNS(Instagram・Facebook・Twitter)の特徴について解説しておきましょう。

ホテルSNSマーケティング

Instagram

Instagram の特徴は、「写真や動画」のビジュアルが重視される点にあります。文字よりも写真や動画がメインとなるInstagramでは、ハイクオリティで見た目のよいコンテンツが求められます。

総務省「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要」によると、Instagramのユーザーとして最も多いのが20代。若い世代に好まれるSNSであることも知っておく必要があります。

Instagramの活用においては、「フォロワーのエンゲージメント率が投稿の露出を左右する」ことを意識しましょう。

米国のデジタルマーケティング専門家である、Neil Patel氏によると、「投稿頻度が少ないと、最終的にはフォロワー数も減ってしまう」と語っています。つまり、あなたのホテルの投稿するコンテンツのクオリティーだけでなく、ユーザーの関心の高さや注目度、投稿頻度も重要であるということ。

より多くのユーザーの反応を得ること、さらに頻度の良い投稿が求められる点は、Instagram運用の重要なポイントです。

ホテルマーケティングにおいては、直販(他サイトを経由せず自社サイトからの予約など)を引き上げることが重要視されていますが、Instagramは直販の引き上げに高い効果があると言われています。

Facebook

FacebookもInstagramと同じように、投稿するコンテンツのクオリティーが求められ、ユーザーからの関心の高さや注目度が重要視されます。

総務省「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要」によると、Facebookユーザーとして最も多いのが30代40代。Instagramよりもやや年齢層が高めです。

投稿に対して「いいね!」やコメントの数、シェアの数が少ないと、Facebookのアルゴリズムにより、フィードの表示が少なくなってしまいます。つまり、投稿しても他のアカウントの投稿に埋もれてしまい、露出度が下がってしまうというわけですね。

Facebookは、ユーザーが本当に求めている情報なのか、ユーザーにとって有益な情報なのか、エンターテインメント性があるかなど、多面的にコンテンツを分析しています。

Twitter

Twitterは文字メインのSNSです。140文字という限られた文字数で、ユーザーに対してリアルタイムで簡潔に有益な情報を発信することが求められます。

総務省「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要」によると、Twitterユーザーとして最も多いのが20代。こちらもInstagram同様に若い世代に好まれるSNSです。 

Twitterでは、文字だけでなく、画像をツイートし、さらにストーリー性のある内容にすることも可能です。

また、Twitterには投稿をフォロワー全員に向けてすばやく共有できるリツイート機能があります。リツイートは、自分の過去の投稿はもちろん、他のユーザーの投稿を自分のタイムラインに表示できる機能。他のSNSに比べてもTwitterのリツイートによる拡散効果は圧倒的に高いです。

そのため、ホテルのブログの宣伝など、認知拡大を図る場合には、InstagramやFacebookよりTwitterの方が優れていると言えます。

また、Twitterでは投稿をカテゴライズして検索を容易にするハッシュタグの使い方がコンテンツ露出に大きな役割を果たします。

タグを付けることで同じキーワードでの投稿を簡単に検索できる上、趣味や関心が似たユーザー同士で、話題を共有できるようになるというわけですね。

ひとつの例を挙げてハッシュタグの使用方法を解説しましょう。

イギリスのCowly Manorホテルは、クリスマスに催すイベントについて12投稿以上した際に、すべてのツイートに「#AVeryCowleyChristmas」のハッシュタグをつけました。

これはFacebookでもInstagramでももちろん使われる機能ですが、Twitterですと、同一のハッシュタグをつけたツイートが増えることで、多くのユーザーからの注目度もあがりやすいという傾向があります。

やみくもにハッシュタグを付けるのではなく、ある程度厳選したハッシュタグを付けてツイートすることで、より多くのユーザーからの注目を集めやすくなるということも覚えておきましょう。

ホテルsnsのマーケティング戦略による予約の増加

5.SNSの有料オプションを検討する

SNSの魅力は、運用コストがかからない点にあります。しかし、近年注目されているのが、有料オプションの活用です。

無料で行うSNS運用において目的とされるのは、主に「認知」の拡大です。SNSを通して、ホテルの存在を知ってもらうことができれば、それだけで見込み客の獲得にも繋がります。

しかし、有料オプションを使用することで、さらなる見込み客の獲得やエンゲージメントの向上を目指すことが可能になっているのです。

ここで、SNSの主な有料サービスをいくつか例に挙げて紹介しておきましょう。

・Facebook

Facebookの有料サービスには、あなたのコンテンツに興味関心を示しそうな特定のユーザー層にリーチするためのツールがあります。いいねを増やす効果や、フォロワー数増加などの目的に高い効果が見込まれており、初心者にも使いやすいおすすめのサービスです。

 ・Instagram

Instagramは、特定のイベントに関連した広告を展開するのにとても適したソーシャルメディアです。Facebookと連動させることにより、ユーザーのターゲティングを強化し、さらなる新しいユーザーとつながる可能性を高めることが可能です。

 ・Twitter

Twitterのフォロワーキャンペーンは、数週間から数ヶ月という限られた期間で、アカウントのプロモーションやフォロワー数の拡大を加速させるのに役立つ便利なサービスです。

これらの有料サービスには、さまざまなメリットや活用方法があり、一概に上記の例が最善で完璧なアイデアであるとは言えません。

 大切なのは、ホテルのSNS運用において積極的に有料オプションの使用を視野に入れて検討すること。無料で運用しても高い効果が見込めるSNSですが、必要に応じて有料オプションを追加することで、さらに高い効果が得られる可能性があることは覚えておく必要があります。

まとめ:中小ホテルのSNS運用において重要なこと

 今回の記事では、中小ホテルのSNS運用において意識すべき5つのヒントについてお伝えしました。

SNS運用においては、マーケティングのアイデアを明確に組み立てたのちに、着実にそれを実行することが大切です。SNS運用において忘れてはならない5つの点を以下にまとめておきましょう。

  1. ホテルのスタイルを前面に出すこと
  2. 一貫した世界観を発信し続けること
  3. ハイクオリティなコンテンツを作成すること
  4. SNSごとの特性を理解して差別化すること
  5. 必要に応じて有料サービスを活用すること

中小ホテルをさらに多くの人に認知してもらい、より多くの人々に宿泊してもらうためには、SNS運用が強力なツールとなります。効果的に活用し、あなたのホテルのファンを増やしていきましょう。

Thank you! Your submission has been received!
Oops! Something went wrong while submitting the form.
Share this post
リンクをコピー
wasimil.com/blog/5-sns-management-tips-for-small-and-medium-sized-hotels
url

Related Articles

テクノロジー

宿泊業必見!IT導入補助金の基礎知識と申請方法をわかりやすく解説

この記事を読む
ホテル運営

今すぐ補助金で賢く導入!宿泊業の人材不足と業務効率化を一挙解決する方法

この記事を読む
レベニューマネージメント

閑散期に有効なマーケティング戦略のヒント

稼働率が下がる閑散期、有効活用できていますか? 閑散期にこそできる有効なマーケティング戦略のヒントを3つのポイントで解説します。
この記事を読む