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マーケティング

データで見るインバウンド宿泊客属性の違い

Written by:
Hinako
December 22, 2023

みなさん、日本におけるインバウンドについてどのくらい知っていますか?

✅ どの国からくる人が多いのか

✅ どんなことにお金を使っているのか

✅ はたまた男女比や年齢・性別はどんな構成なのか…

こんな風に細かく考えたことはありますか?

日本におけるインバウンド全体の属性を知っておくことはマーケティングにおいて非常に有用です。あなたのホテルのゲスト属性と比較して、あなたのホテルの特徴や立ち位置が見えてくるからです。

そこで、この記事では日本におけるインバウンドの属性について解説します。

扱うデータは、JTA 国際訪問者調査(IVS)に関連したケーススタディシリーズです。

この調査、旅行目的に「観光・レジャー」と回答したインバウンドの属性や傾向を調査する目的で行われました。

さらに、このデータを読み解けば、例えば次のようなことも可能でしょう。

・旅行アクティビティを運営する企業、旅行会社、地方の観光マーケティング

・鉄道やバスなどの公共交通機関、海や空の旅行サービスを行う交通会社向けの指標

・年齢層、性別、世帯年収の項目から、インバウンドの支出の分布と関連する相関関係をよりよく理解できる

・2016年~2019年のデータから、新たなトレンド、成長・衰退指標を知ることができる

・国別に比較できることから、国ごとのインバウンドの嗜好を洞察できる

・訪問県別に比較できることから、地方の特性に合わせた観光業に役立つ情報を得られる

主な旅行目的

宿泊客の旅行目的データ

2019年、旅行目的のトップは「レジャー・観光」(77%)でした。

日本にくる外国人の4人に3人が「レジャー・観光」目的であり、多数派ということを意味しています。

その他の目的としては、「出張」(6%)、「家族・友人の訪問」(4%)、「会社の用事」、「研修」、「国際会議」などが挙げられますが、いずれもインバウンドの5%未満であり少数派といえるでしょう。

主に「レジャー・観光」目的で旅行したインバウンドは、アジア諸国からの旅行者が多いです。

例えば最も多かった香港。香港からのインバウンドのうち90%が「レジャー・観光」目的で来日しているのです。同様に、台湾が89%・中国が84%・韓国が78%・タイが77%と、近隣アジア諸国がランクインしています。

レジャー・観光目的の旅行客

一方、「ビジネス/出張」目的のインバウンドが多い国々は、異なる様相を示しています。インドで55%・ドイツで31%・イギリスで25%・ベトナムで21%・イタリアで21%が「ビジネス・出張」目的なのです。「レジャー・観光」とは全然違う顔ぶれですね。

「家族や知人訪問」目的のインバウンドが多いのは、主にフィリピン18%・米国10%・フランス10%。という結果になりました。

都道府県別に見ると、「観光・レジャー」目的のインバウンドの割合が最も低いのは埼玉46%です。埼玉に行くインバウンドのうち46%は「観光・レジャー」目的ですが、残りの半数以上が観光以外の目的で訪れているということです。

次いで、茨城47%・群馬55%・福島58%でした。

支出の傾向

インバウンドの支出をいくつかに分類し、購入率を調査しました。

結果は上の表のとおり、ショッピングが98%、レストラン・ファーストフード等が88%、交通・移動が80%、宿泊施設が71%、娯楽・アクティビティが47%。

インバウンドのほとんどがショッピングや食事にお金をつかっていることがうかがえますね。

以下、「娯楽・アクティビティ」と「交通・移動」についての詳細な調査結果を紹介します。

娯楽・アクティビティ

2019年の娯楽・アクティビティの支出の内訳は、美術館・博物館・動物園・水族館(25%)、ゴルフ場やテーマパーク(18%)、温泉・温浴施設・エステ・リラクゼーション(5%)、現地ツアー・観光ガイド(5%)が大半を占めました。(下図)

娯楽・アクティビティの内訳

欧米諸国では、美術館・博物館・動植物園・水族館の購入率がとりわけ高いことがわかります。多い順に、フランス(59%)、ドイツ(58%)、イギリス(53%)、イタリア(53%)、スペイン(51%)、カナダ(50%)。

娯楽・アクティビティの欧州データ
  • 一方、ゴルフ場・テーマパークの購入率が高いのは、フィリピン(40%)、インドネシア(34%)、オーストラリア(29%)、ロシア・マレーシア(25%)、インド(23%)、中国(21%)。
  •  温泉・温浴施設・エステ・リラクゼーションの購入率が高いのは、ドイツ(16%)、フランス(14%)。
  •  最後に、スキー場リフトの購入率が高いのは、オーストラリア(16%)だけであることがわかります。

交通・移動手段

交通機関で購入率が最も高いのは新幹線/鉄道/地下鉄でした。

JRグループ6社が協同して提供するジャパンレールパスは購入率が13%と低い結果に。

その他の移動手段は、バス(21%)、タクシー(16%)、レンタカー(9%)、国内線(2%)、船舶(1%)となっています。

宿泊客の交通・移動手段
    国別に見るとカナダ・イギリス・アメリカ・ロシアからのインバウンドで、新幹線・鉄道・地下鉄の購入率が高いことがわかります(75~77%)。
カナダ・イギリス・ロシアの移動手段におけるデータ
    一方、フランス・スペイン・ドイツ・イタリア・オーストラリアからのインバウンドでは、ジャパンレールパスの購入率が高い結果でした(46~49%)。

これらの国からのインバウンドは、日本に長期滞在するインバウンドとしても注目されています。日本に長期滞在する中で、ジャパンレールパスを使って日本各地を巡る旅行が好みなのかもしれません。

欧州からの旅行者が好む移動手段
    フィリピンからのインバウンドは新幹線・鉄道・地下鉄の購入率が最も高く(78%)、ジャパンレールパスの購入率が最も低い(10%)という興味深い傾向が見られます。

     アジアからのインバウンド上位国であるシンガポール、台湾、香港では、レンタカーの購入率が高いこともわかりました(17~22%)。

     都道府県別に見ると、東京・大阪・京都への旅行者は、鉄道・モノレールの購入率が 78%と高く、新幹線の購入率は 23~27%でした。また、貸切バスの購入率が高いのは、富山

(59%)、静 岡(54%)、山梨(54%)の旅行者という結果も。

各都道府県の交通利便性によって、地域ごとに特徴が見られますね。

世帯年収・年齢・性別

     インバウンド全体のほぼ半数(49%)の世帯年収が500万円以下という結果が得られました(下図)。2017年の58%から減少しています。

世帯年収500万円以下というのは主にアジア諸国で顕著です。インドネシアで98%、ベトナムで90%、フィリピンで78%、中国で60%が世帯年収500万以下となっています。

旅行者の支出傾向に関するデータ
     一方、インバウンド全体の16%が世帯年収1,000万円~2,000万円でした。2017年の11%から増加しています。

世帯年収1000万円~2000万円は主に欧米諸国で多い傾向です。アメリカとオーストラリアでは(34%)、イギリスとカナダでは(26%)となっています。

     男女比はほぼ半々で、最も多い年齢層は20-29歳(31%)。ぞのうち女性は16%で、2016年の22%から減少しています。

20-29歳とほぼ同じ割合の30-39歳(30%)。ぞのうち男性は15%で、2016年の13%から増加しています。

50-69歳は16%で女性/男性ともに8%と半々でした。

旅行者の男女比

国・県別の詳細な内訳は、こちらのリンク先で公開されているTableauダッシュボードをご覧ください。


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