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マーケティング

ホテル事業での「マーケティングファネル」戦略の実例紹介

Written by:
Mayumi Nishimo
March 1, 2024

皆さんはこれまでに「マーケティングファネル」という言葉を聞いたことがありますか?

マーケティングファネルとは、消費者が商品やサービスを購入・契約するまでのプロセスをフェーズ化したもののこと。

マーケティングファネルを知らずして、ビジネスの成功はあり得ないと言えるほど重要度の高いものです。

今回の記事では、ホテルの成功のために知っておくべき「マーケティングファネル」について徹底解説し、ホテルにおける具体的な施策についても紹介していきます。

この記事を読むことで、マーケティングファネルを正確に理解し、明日からのホテル運営にさっそく役立てていただくことができます。

ぜひ参考にしてくださいね。

マーケティングファネルとは何か

まずは基本中の基本、「マーケティングファネル」の言葉の意味について理解しましょう。

ファネルとは英語で「funnel」と書き、その意味は「漏斗」です。漏斗と聞けば誰しもが逆三角形の形をしたものを思い浮かべると思いますがその認識であっています。

マーケティングファネルとは、顧客が商品を認知してから購入するまでのプロセスを図に著したもので、その図が漏斗のように見えることからその名が付けられています。

いわばマーケティングにおける基本のフレームワークの一つであるマーケティングファネル。これまでにマーケティングの勉強をされてきた方なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

マーケティングファネルを図解で示したものがこちら。

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マーケティングファネルは一般的に、以下の4段階に分けられています。

  • Awareness(認知)・・商品・サービスの存在を知る
  • Interest(関心)・・商品・サービスに興味を持つ
  • Consideration(検討)・・複数の商品・サービスを比較検討する
  • Action(購入)・・最終的に購入する商品・サービスを決定する

この時点でイメージいただける通り、上から下に降りてくるにつれ、その人数は絞り込まれてきますよね。これがマーケティングファネルが逆三角形である理由です。

わかりやすく説明すると、認知した人が仮に100人いたとしても、その中で関心を持つ人は50人、さらに深い興味を持ち検討する人は25人、その中で購入に至るのが10人、となるイメージです。

なぜマーケティングファネルを意識する必要があるのか

ホテル運営に限らず、ビジネスにおいてマーケティングファネルを意識する必要があるのかについて解説しておきましょう。

マーケティングファネルが重要視される理由は、マーケティングファネル(購入者の一連のプロセス)を理解することにより、問題点を正確に見極め、適切な施策を打つことが可能になるからです。

商品やサービスが思うように売れないときには、必ず何かしらの問題があります。

マーケティングファネルを意識せずに問題を解決するとなると、その施策は「当てずっぽう」のものばかりになってしまうでしょう。

「多分ここに問題があるようだから、こうしてみよう」とたくさんの無駄な施策に時間と労力を費やし、結果的に成果も上がらないことは日常茶飯事です。

例を挙げるとすれば、商品を認知させることが十分にできていないことが理由なのに、最終のクロージング部分である「購入者特典」などのキャンペーンをいくら充実させても売上は上がりません。

このような無駄を省くためにも、ビジネスにおいてはマーケティングファネルを意識した施策の打ち出しが非常に重要で、これに関してはホテルにおいても当然同じことが言えるわけです。

ホテルにおけるマーケティングファネルとは

ここからは、ホテルにおけるマーケティングファネルについて深く考えていきましょう。

マーケティングファネルは、消費者が商品を購入(ホテルの場合であれば宿泊予約を完了)するところまでのプロセスを図解したものであることは前述の通り。

ホテルにおけるマーケティングファネルについては、以下の4段階と考えられます。

Awareness(認知)

ホテルの存在を知る。「あそこにこんなホテルがあるらしい」と認知。

Interest(関心)

そのホテルに興味・関心を寄せる。「あのホテルにはこんな特殊なサービスがあるらしい」など興味を持つ。

Consideration(検討)

実際にそのホテルに宿泊するかどうかを考える。「あのホテルは良さそう、でも他のホテルも気になる、違いを比較してみよう」など比較検討を開始する。

Action(購入)

ホテルに宿泊予約をする。「考えた結果、やっぱりあのホテルが一番良さそう、よし予約しよう」と実際に宿泊予約を完了させる。

実際にホテルを認知してから予約を完了させるまでの4段階は非常にシンプル。誰もが理解できるプロセスですね。

大切なのは、これらのマーケティングファネルで浮き彫りになった4つのグループごとに、施策を打つことです。

なぜなら、認知に対する施策と購入に対する施策とでは、内容が全く変わるからです。もっと言えば、認知したばかりの顧客と検討を始めている顧客とでは、購入に対する意識のレベルがまるで違います。

このように、認知・関心・検討・購入の4つのグループはそれぞれに大きく異なっているため、4つのグループごとの施策を整えることで始めてホテルの戦略的なマーケティングが可能になるのです。

マーケティングファネルを意識したホテルの施策


それではここからは、マーケティングファネルを意識したホテルの施策について解説していきます。

  • Awareness(認知)
  • Interest(関心)
  • Consideration(検討)
  • Action(購入)

ここでは、上記4つの段階ごとに、ホテルとしてどのような施策を考えるべきなのかを考えていきます。

具体的な施策についても紹介していきますので、すぐにでもあなたのホテルに取り入れられそうなものは実行に移していきましょう!

Awareness(認知)対策

まずはホテルを知ってもらう「認知」の部分に効果的な施策を考えましょう。

数多くのホテルに埋もれることなく、あなたのホテルを知ってもらうためには、

  • 広告
  • ブログで紹介
  • YouTube
  • 公式サイト
  • SNS

などに潜在顧客を呼び込まなくてはなりません。

あなたのホテルならではの強みや特徴、アピールしたいポイントをぎゅっと詰め込んだ何かを潜在顧客の目に触れさせる必要があるのがこの段階です。

Googleの上位表示を狙う方法

旅行がしたい、ホテルを探したい、と思った潜在顧客がまず最初に向かう先はGoogleでしょう。

Googleで「新宿 ホテル」などと検索した際にあなたのホテルがすぐさま見つからなければ認知の機会を逃してしまいかねません。

ここで重要となるのがSEO対策。認知対策においてもっとも重要とも言えるSEO対策ですが、一体どのようにすれば上位表示されるようになるのでしょう。

その答えは、関連キーワードを含めて考えたコンテンツを配信すること。公式サイト上のコラムやTwitter上で公開する内容は、メインキーワード以外の関連キーワードも絡めたものにすることで一気に人の目に触れやすくなります。

例えばあなたのホテルが新宿にあり、ビジネス利用や一人旅の方をターゲットにしているとします。

この場合メインとなるキーワードは「新宿 ホテル」。ここで関連キーワードとなるのが、

  • おしゃれ
  • デイユース
  • おすすめ
  • ビュッフェ

などのワードです。

つまり、新宿のホテルを検索する潜在顧客の多くがこれらのワードにも興味を持っているということになります。公式ブログや各種SNSで配信するコンテンツは、これらのワードを網羅したものにしていく必要がありますね。

Interest(関心)対策

ホテルを認知してもらった人の中で、なるべく多くの人の興味を引き「関心」を持ってもらうための施策も考える必要があります。

この段階では、潜在顧客はホテルのサービスにより興味を持っているため、ここで他のホテルよりも強く興味を惹きつけることがとても大事。

ホテル名で検索した際に、すぐ目に着く目立つ場所に「あなたのホテルの最大の強み」が現れるように工夫しましょう。また、InstagramをはじめとするSNS上でも、他のホテルにはない魅力やサービス内容が目に飛び込んでくるような仕組みを作っておくことで、潜在顧客の興味関心をより惹きつけることができます。

Consideration(検討)対策

マーケティングファネル上の「検討」のフェーズにいる人たちは、すでにホテルへの宿泊をほぼ決定しており、いくつかの候補ホテルの中から最終的にどのホテルに宿泊すべきかを決めようとしている段階にいる人たちです。

そのため、ここでは、「今、そのホテルに泊まるメリット」がアピールできると良いでしょう。この部分のアピールが弱ければ、「今回は別のところに泊まろうかな」と顧客をつかみそびれてしまうリスクがあります。

最終的にあなたのホテルを選んでもらうためには、「決め手」となるものが必要。代表的な最後の一押しに使える施策と言えば、やはりキャンペーンですね。

○日まで限定!など期間を設定した上で魅力的なキャンペーンを発信していれば、他ホテルと比較検討中の潜在顧客を獲得しやすくなるでしょう。

Action(購入)対策

最終段階の「購入」のフェーズにいる人たち。ここでの施策は「いかにして直接予約に誘導するか」でしょう。

もうすでにあなたのホテルに宿泊することを決めている段階の顧客が最後に考えるのは「どのように予約をするか」です。

ここで最も有効となるのが、「公式サイト経由の予約限定の特典」です。

他の予約サイトを介することなく、直接公式サイトから予約をすることで得られるメリットを効果的にアピールする方法を考えましょう。

  • ベストレート保証(他のサイト経由より確実に安く予約できる)
  • 客室無料アップグレード
  • ミニバー利用無料
  • 滞在中に使えるディナー割引券

など、特典にはさまざまなものがあります。あなたのホテルに合ったもの、顧客に最も喜ばれそうなものを選ぶと良いですね。

マーケティングファネル戦略を生かし直接予約を得る方法


ホテルにとっての永遠の課題とも言える「直販予約率UP」。ホテル予約には様々な方法があり、多くの顧客が楽天トラベルや一休.comなどの予約サイトを経由して宿泊予約をしています。

ホテルとしては、直販予約でなければ当然手数料も発生するわけですから、なるべく直販予約率を高めておきたいところ。

しかしこれは容易ではありません。ここで有効なのが、マーケティングファネル戦略を生かして直接予約につなげる方法です。

マーケティングファネルにおける「認知」の段階で、ホテルの公式サイトから多くの潜在顧客を獲得していればそのまま直接予約につながる可能性は高くなります。

また、「このホテルに泊まろう」とホテルへの宿泊を決めた顧客が「どのサイトから宿泊予約を取れば一番お得なんだろう」と複数の予約サイトを見比べたとき、直接予約限定のキャンペーンがあれば最終的に直接予約をしてくれるケースは増えるはず。

このように、「認知」と「検討」の2つの段階で施策を考えていくことで、直販予約率を上げることが可能になります。

「認知」の段階で上手く公式サイトが機能している例

例えば、星のリゾート系列の人気宿「青森屋」は、公式サイトが見た目に美しく、さらに過ごし方などが写真付きでわかりやすく書かれている事例のひとつ。宿泊当日の流れが非常にイメージしやすく、ワクワクさせてくれます。



「検討」の段階で効果的にキャンペーンを活用している例

例えば「リーガロイヤルホテル東京」では、公式サイトからの予約限定で、以下の2つの選べる特典を用意しています。

  • タクシーでお越しのお客様に往路タクシー代キャッシュバック(上限¥1,500)
  • 自家用車でお越しのお客様に滞在中駐車場無料(通常駐車料金¥1,500)

ホテルの直接予約を増やすための方法については、過去の記事でもくわしく解説しています。ぜひ合わせて読んでみてくださいね。

ホテルの直販予約を50%に上げる方法
ホテルの直接予約を増やすオンラインマーケティング3選

マーケティングファネルを理解しホテルのロイヤルティを高めよう

ホテルマーケティングにおいて重要なのは、顧客ロイヤルティを高めること。

顧客ロイヤルティとは、ホテルに対して顧客が抱く愛着心のこと。顧客ロイヤルティを高めることができれば、その顧客は次回旅行の機会があれば必ずあなたのホテルを第一に検討してくれるはず。

顧客ロイヤルティはホテルが成功するために非常に重要な意味を持っています。

中小規模のホテルにおいて、顧客ロイヤルティを高めるためにできることはたくさんありますが、その代表的な施策が「ロイヤルティプログラム」の導入。

宿泊回数に応じた特典や会員ランクなどを設け、「繰り返し宿泊利用することでメリットが得られる」意識を植え付けることはもちろん大事です。なぜなら、このようなロイヤルティプログラムは基本的に直接予約により適応されるもの。つまり、直販予約率を高めるのにぴったりの施策なのです。

マーケティングファネルの観点で考えると、顧客ロイヤルティについてのアピールは予約することが確定する前の段階、つまり「認知」や「関心」、そして「検討」の段階から始めておくべきことでしょう。

例えば、有名ホテルチェーンヒルトンは、ロイヤルティプログラムが充実していることで知られています。その内容を参考までに紹介しておきましょう。

ヒルトンのロイヤルティプログラムが注目されている理由の一つに、「案外簡単にランクアップが可能」な点が挙げられます。

メンバーになるのは無料、4回/10泊以上でシルバーにランクアップ、ちなみにゴールドの条件は20回/40泊という設定です。

シルバーになるだけで5泊目が無料になる、プールが無料で利用できるなどしっかりと特別感を感じることができる特典が得られるのですから、「まずは10泊してみよう」という気持ちにさせられますよね。

他にも、ロイヤルティプログラム導入に関する方法やメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

中小規模ホテルがロイヤルティプログラムを導入するメリットと作成のヒント

まとめ

今回は、ホテルを成功へと導くために必ず知っておきたい「マーケティングファネル」について解説しました。

潜在顧客をAwareness(認知)・Interest(関心)・Consideration(検討)・Action(購入)の4つのフェーズに分類し、それぞれの段階ごとに効果的なマーケティング施策を打ち出すことがいかに重要であるかがご理解いただけたことと思います。マーケティングファネルを意識したマーケティングを行う上で、WASIMILのCRM機能はとても役立ちます。

WASIMILのCRM機能を活用することで、顧客データを正確かつ迅速に分析し、過去の宿泊履歴や顧客の動向から「どのような施策が有効であるか」を把握することが可能です。もちろん、全てを手作業で行い、時間をかけてデータ分析をすることは不可能ではありません。

しかし、スピーディーに変化し続けるホテル業界。

そのスピード感に遅れをとることなく、効率的に業務を進める上で、システムの導入はとても賢明な選択肢であると言えるでしょう。あなたのホテルのさらなる成功のために、ぜひWASMILの導入もご検討されてみてはいかがでしょうか。

CRMを活用したマーケティングの具体例やヒントについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。合わせてぜひ読んでみてくださいね。

ホテルがCRMを活用したマーケティングを行うヒント

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