あなたのホテルにくるインバウンドはどんな人たちですか?
こう聞かれてスラスラと答えられる人は多くないかもしれません。
体感として何となくイメージはできても、明確に言語化するのは難しいですよね。
この記事では、膨大なデータからインバウンドの属性を明らかにしています。
ふんわりとしたイメージを、できるだけはっきりさせましょう。
イメージが具体的であるほど、マーケティング の精度がアップします。
【来訪目的】何しに日本に来ているの?
ー観光・レジャーが圧倒的
インバウンドの来訪目的は、圧倒的に観光・レジャーです。
インバウンドのうち77%が観光・レジャーのために日本に来ており、2位の出張(6%)、3位の親族知人訪問(5%)、4位の企業ミーティング(4%)を大きく引き離しています。
ー親族・知人に会いに来るフィリピン人
インバウンド全体としては観光・レジャーが大半ですが、国別にみるとまた違った傾向が見えてくるかもしれません。
例えば、フィリピンの来訪目的はこんな感じです。
やはり1位は観光・レジャーですが、2位の親族知人訪問に着目してください。
親族知人訪問はほとんどの国で10%未満であるのに対し、フィリピンは18%と注目すべき高値なのです。
この理由として考えられるのは、日本在留のフィリピン人が多いことが挙げられます。
日本在留のフィリピン人は28万2,023人(2020年6月)で、中国・韓国・ベトナムに次ぐ4番目に多い国です。したがって、日本で働いている親族や友人に会うために日本を訪れるケースが目立つのでしょう。
このような傾向から、フィリピン人に対するアプローチとしては次のようなポイントを押さえると、喜ばれるかもしれません。
✅家族や知人みんなで入れる大人数に対応した部屋
✅人数で価格が変動しない部屋売り
大切な人に会うためにはるばるフィリピンから来たゲストには、家族や友人とすばらしい時間を過ごしてもらいましょう。
【娯楽サービス費】日本で何を楽しんでいるの?
ー娯楽費4分の1を美術館や博物館に
インバウンド全体では、娯楽費の25%を美術館・博物館・動植物園・水族館に使っていることがわかります。次いで、ゴルフ場・テーマパークに18%、温泉・温浴施設・エステ・リラクゼーションに6%という結果になりました。
東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンを含んだテーマパークよりも、美術館や博物館が娯楽費トップなのは意外なのではないでしょうか?
ー特にヨーロッパの国々は顕著
インバウンド全体としても娯楽費トップをかざる美術館や博物館ですが、ヨーロッパからのインバンドではいっそう顕著です。
例えば、イギリス・スペイン・ドイツ・フランス。
これらの国からのインバンドは、美術館や博物館が娯楽費に占める割合は50%を越えています。全体の傾向である25%を大きく上回り、娯楽費の半分以上を美術館や博物館を楽しむ費用にあてているのです。
ヨーロッパの国々は歴史も古く、絵画や教会など数多くの文化的作品や建築物が残っています。歴史や文化に誇りがある国だからこそ、日本という他国の歴史や文化にも興味があるのかもしれません。
✅近隣の美術館や博物館と提携して、ゲストに割引券を発行する
✅歴史的小話を交えながら史跡を案内する、デイツアーを開催する
このような施策で、歴史や文化に興味のあるヨーロピアンを惹きつけましょう。
【交通費】日本国内の移動手段は?
ー速くて手軽な列車が最多
日本国内の移動手段として、新幹線・鉄道・地下鉄・モノレールなどを含んだ列車がトップでした。
切符やICカードで手軽に利用でき、時間にも正確な列車が、インバウンドにとっても利便性の高いものとして支持されていることが読み取れます。
ー台湾と香港ではレンタカーも人気
台湾と香港では、列車に次いで第2位にレンタカーがつけています。
他の国々では数%であるのに対し、台湾と香港では約20%がレンタカーを利用しており、やや突出した特徴です。
新幹線が通っていない地域や公共交通機関では行きづらい場所にあるホテルは、この特徴に着目しマーケティング戦略や提供サービスを考えてみましょう。
例えば…
✅車でしかいけないような近隣の絶景スポットをSNSで発信する
✅駐車場完備、あるいは近隣パーキングの特別料金を提供する
✅レンタカー付きプランのキャンペーンする
また、日本での運転に必要な国際運転免許についても知っておくと、ゲストにとって心強いホスピタリティとなるでしょう◎
【世帯年収】年収どのくらいの人が多い?
ー500万未満が半数を占めてトップ
全体の49%が世帯年収500万未満とトップ。次に、500~1000万円(28%)、1000~2000万円(16%)と続きます。
全体の8割近くが世帯年収1000万以下ということがわかります。
ただし、世帯年収は国によってかなりバラつきがありそうです。
全体よりも国別・地域別に見た方が、実際にイメージしやすいでしょう。
ー近隣アジア諸国は低め
近隣の東南アジアは世帯年収低めで、500万未満が最多となっています。
例えば、インバウンド上位国のひとつであるベトナムは、9割が500万未満。
インドネシアに関しては、98%が500万未満とほぼ100%です。
したがって、ホテルのメインターゲットが東南アジアの場合、その国の世帯年収に考慮した価格設定を考える必要があります。
✅リーズナブルプランを多めに設定する
✅一部の富裕層向けの豪華プランは、数量限定や繁忙期限定などに設定する
もちろん、このデータだけでなくあなたのホテルのデータと照らし合わせて検討してください。東南アジアからのゲストでも比較的裕福な人が多い場合やホテルのコンセプトにもよるでしょう。
【性別と年代】どの世代が多い?男女比は?
ー20代30代が最多、男女ほぼ半々
全体の傾向としては、20代と30代が2トップ。
インバウンドの6割以上が20代30代ということが読み取れます。
男女比はどの年代でもほぼ半々という結果になりました。
ーアジアの中でインドは男性が多い
インドのデータには注目すべき傾向がみられました。
アジア諸国は女性の比率が高い国が多いのですが、インドだけは男性の比率が高いのです。ほぼ全ての年代で男性が過半数を占めています。
これらはインドの文化や考え方や現状が影響しているかもしれません。
例えば、インドでは女性は良き妻・良き母親になることに価値があるとされています。また、インドの識字率は女性59%・男性78.9%、社会進出は女性29%・男性82%とジェンダー格差があります。
収入がなければ海外旅行には行けないので、必然的に女性は少なくなってしまうのかもしれません。さらに、日本にくるインド人女性は、夫や父親が主導の家族旅行のことが多いとも考えられますね。
このようにデータから推察すると、インド人へ向けたアプローチの考え方は…
✅女性をターゲットとしたキャンペーンへの反応は薄いかも
✅家族旅行あるいはビジネスマンへ向けて発信した方がベターかも
というようなことが考えられます。
インドのように、国によってさまざまな事情があります。こういった事情をふまえるのも、マーケティング戦略の考え方のヒントになるでしょう。
あなたのホテルに必要なデータ確認はこちら
この記事では、来訪目的・娯楽サービス費・交通費・世帯年収・性別と年代の項目についてのデータを紹介しました。
しかし、ここで紹介したデータはほんの一部です。
あなたのホテルに必要なデータはWasimilのダッシュボードにあります。
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