あなたのホテルでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを始めていますか?
経済産業省によると、DXを実現できなければ、日本は2025年以降、年間12兆円にものぼる大きな経済損失を生じうるとのこと。また新経済連盟は、バックオフィス業務をデジタル完結するだけで、日本全体で2兆円規模の生産性向上が見込まれると試算しています。
このような時流の中で、いち早くDXを進め、新しい時代に適応していくためには、どのような施策が必要なのでしょうか?
そして、ホテルがDXを導入するにより、どのようなメリットとが得られるのでしょうか?
この記事では、ホテル・旅館のDX活用事例を挙げながら、あなたのホテルに合ったデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入するためのヒントを解説していきます。
ホテルのデジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
そもそもホテル・旅館にとってのデジタルトランスフォーメーション(DX)とは、何を意味するのでしょうか?
デジタルを活かした変革
経済産業省によると、DXの定義は下記の通りです。
”企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
出典:経済産業省
この定義をホテル業界に当てはめると、DXとはデジタル技術を活かして、オペレーションの効率化を図ると同時に、お客様により良いサービスを提供すること。
その結果として、顧客体験の向上や、競合ホテルとの差別化につなげることが目的といえます。
単なるデジタル化との違い
ここで疑問に思うのは、「デジタル化」との違いですよね。
DXは、単なるデジタル化とイコールではありません。
デジタル化は、業務効率化を目的としたデジタルツールの導入です。
これまで紙ベースで管理していたデータをデジタルベースへ変換したり、複数のシステムを連携させたりして、業務の効率化を図ることなどを指します。
一方DXは、デジタル化したことで得たデータや最新のデジタル技術(AIやIoTなど)を活かして、新しいビジネスモデルや組織編成などを生み出すことです。
また、業務効率化だけでなく、お客様の利便性の向上を実現できるかどうかという点も、単なるデジタル化とDXの違いといえるでしょう。
例えば、CRMのデータクレンジングを自動化することは、業務の効率化や経費削減に役立つと同時に、効果的なマーケティング施策の手助けになります。
スタッフが本来のフロント業務に集中できるようになることで、より質の高いサービスが受けられるのは、お客様にとってもメリットです。
もちろんDXを行うためにはデジタル化は大前提なので、ステップとしては、デジタル化→DXという順番になります。
ホテル・旅館のデジタルトランスフォーメーション(DX)事例
ホテル・旅館では、具体的にどのような形でデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用しているのでしょうか?
ホテル業界におけるDXの事例をいくつかご紹介していきます。
1.自動車ナンバーと宿泊履歴を自動照合
ホテル・旅館のDX事例の1つめは、駐車場の自動車ナンバーを認識し、過去の履歴と照合させるテクノロジーの導入です。
自動車ナンバーからリピーターかどうかを判断し、リピーターであれば、社内SNSで全員に通知する仕組みになっています。
フロントスタッフは名前を把握した上でお迎えでき、仲居は顧客情報や過去の履歴をもとに好みにあったサービスを提供できるようになります。
2.人感センサー設置で清掃業務を効率化
ホテル・旅館のDX事例の2つめは、お客様の入退場を感知するIoTテクノロジーの導入です。
人感センサーを大浴場の入り口に設置し、使用者数を管理。大浴場を使用した人数が一定数以上になると、スタッフに清掃やメンテナンスを促す通知され、効率的に清掃を行うことができます。
また、客室の入口に人感センサーを設置すれば、清掃に行くタイミングが最適化されるのはもちろん、館内施設や受付に通知がいくようにしておくことで、お客様をお迎えする前に、あらかじめ顧客情報を確認することも可能です。
3.AR(拡張現実)アプリの活用
ホテル・旅館のDX事例の3つめは、ARアプリの活用です。
最近では、モバイル版の公式サイトにAR道案内アプリを導入して、近隣ホテルとの差別化を図るホテルを見かけるようになりました。
AR道案内なら、平面の地図が苦手なお客様でも、迷わずにホテルまでたどり着くことができるので安心ですよね。
そのほかにも、スタンプラリーやエンターテイメント等にARアプリを活用するホテルも増えてきており、SNSキャンペーンとの相性も抜群です。
ARを活用したホテルの集客アイディアについては、こちらの記事をどうぞ。
4.チャットボットの導入
ホテル・旅館のDX事例の4つめは、チャットボットの導入です。
AIチャットボットは、多言語対応や人言費削減といった課題への解決策になり、お客様の視点から見ても、24時間いつでも即時に回答が得られ、フロントに電話をするより気軽に質問ができることから、双方にとってのメリットが多いDXです。
マリオットなどの大手ホテルでは、すでにチャットボットが積極的に活用されています。
5.清掃ロボットの導入
ホテル・旅館のDX事例の5つめは、業務用清掃ロボットの導入です。
ホテルにとって、清掃係はなくてはならない存在ですが、どこも深刻な人手不足に悩まされているのが現状です。
しかし実際には、ロボットでも清掃が可能なエリアがたくさんあります。清掃スタッフとロボットを併用すれば、清掃作業にかかる時間は大幅に短縮。人手不足の有効な対策として期待されています。
6.予約・フロント業務を一元管理
ホテル・旅館のDX事例の6つめは、予約・フロント業務の一元管理化です。
自社サイトからの直接予約(予約システム)、OTAからの予約(サイトコントローラー)、CRM(顧客管理システム)をPMSに連携させれば、面倒な在庫管理や料金設定はすべて自動化できます。
もちろん、予約情報や顧客情報をマニュアルでPMSに入力し直す手間もなく、ダブルブッキングなどのトラブルや、人的ミス防止にも役立ちます。
7.スマートチェックイン
ホテル・旅館のDX事例の7つめは、チェックインの自動化です。
コンタクトレス(非接触型)がニューノーマルとなった今、スマートチェックインは、顧客のニーズに応える重要な施策のひとつ。
スマートチェックインなら、チェックイン時もスムーズで、会計のためにフロントが混み合う状態も回避できます。
オペレーション側としても、チェックインの無人化・省力化は人手不足解消や人件費削減に直結し、多言語対応システムを使用することで、インバウンド集客にも効果的です。
スマホユーザーの増加を考慮したデジタル変革へ
ホテルがデジタルトランスフォーメーション(DX)施策を検討する際には、スマホユーザーを意識することも重要です。
スマートフォンを主軸にした戦略が不可欠です
Statistaの統計によると、2021年の日本国内におけるスマホ普及率は82.22%。
2017年の63.95%から大幅な増加となっており、2026年には92.94%にまで増加すると予測されています。
また、内閣府による消費動向調査の「世帯ベースでの普及率の実情」でも、2人以上の世帯でのスマホ保有率は9割近くという結果に。これには70歳以上の高齢者世代も含まれており、今にスマホが、どの世代でも持っている国民的テクノロジーになるのは明らかです。
この現状をふまえれば、今後はスマホありきの戦略は必要不可欠といっても過言ではありません。
例えば、ホテルの公式サイトや宿泊予約システム、キャンペーンメールのデザインに、スマホの画面に適したレスポンシブデザインを採用するのは、最低限のDX施策といえます。
あなたのホテルでも、スマホ普及によって生まれる新たな顧客ニーズを的確に捉え、期待に応えていく準備をしましょう。
ウェブサイトのスマホ最適化により、直接予約のコンバージョン率を向上させる方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
WASIMILの予約システム
JTB総合研究所「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2019年)」によると、実に3人に1人が宿泊施設をスマホで予約をしています。
そのため、自社ホテルサイトからの直接予約を促進するためには、公式サイトにモバイル対応の予約システムを組み込むことが重要です。
ホテルシステムWASIMILには、宿泊予約システムがはじめから備わっているため、外部のサービスに余計な手数料を支払う必要はありません。
スマホユーザーを意識したレスポンシブデザインはもちろん、下記のような優れた特徴を持っています。
WASIMILの予約システムの特徴
- モバイル対応
- 10言語対応
- クレジット決済連携
- ユーザーの予約行動を分析
- 直感的に操作できるシンプルなデザイン
- ホームページのトーンにあわせてカスタマイズ可能
- アドオン機能で追加サービスを販売
ホテルマーケティングDXで顧客体験を改革
デジタルトランスフォーメーション(DX)をホテルマーケティングに活用することで、宿泊体験の向上や、より良いサービスの提供に役立てることもできます。
そして、その重要なカギになるのが、CRM(顧客管理システム)による顧客情報の分析です。
パーソナライゼーション
WASIMILのCRMは、顧客の属性や嗜好、宿泊履歴、フィードバック、予約チャネル、コミュニケーションチャネルなど、顧客360度視点であらゆる情報を収集・分析し、よりパーソナライズされたアプローチを実現します。
例えば、ランダムに送信されたキャンペーンメールより、誕生月のタイミングにあわせて送られた有益な情報のほうが、コンバージョン率が高くなるのは容易に想像できますよね。
お客様の視点から見ても、自分だけの特別な特典が受けられることで、ホテルに対する愛着が強くなるでしょう。
また、CRMをPMSと連携させれば、お客様の滞在中に「お誕生日おめでとうございます」と、スタッフからお声がけし、特別感のあるサービスを提供することもできます。
このように、宿泊体験は、お客様があなたのホテルにチェックインするずっと前から始まっているのです。
ホテルのDXの基本はお客様ファースト
ホテルにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の基本は、お客様を一番に考えることです。
どのようなビジネスにおいても、基本は「お客様の悩みや問題を解決する」ことが根底にあります。ホテルというサービス業ならば、なおさらです。
新しいデジタル技術の導入や抜本的な変革(DX)を検討する際には、それらがどのようにお客様のプラスになるのか、お客様はどのような反応を示すのかを考える必要があります。
まずは、お客様があなたのホテルに泊まるまでに、どのようなカスタマージャーニーをたどっているのか遡って考えてみましょう。
- 最寄駅からホテルまでの道のりは?
- どのサイトから予約したのか?
- どうやってあなたのホテルを見つけたのか?
さらには、
- どの時間帯にスマホを使っているのか?
- 土日休みなのか、シフト制なのか?
など。
顧客のライフスタイルを含めたカスタマージャーニーを検討することで、お客様とのタッチポイントを洗いだし、適切な媒体やタイミングで、よりお客様の関心が高い情報を届けましょう。
ホテルとDXは相性が良く、DXを導入できるエリアがたくさんあります。とはいえ、デジタル技術は常に進歩しているので、どこから始めていいのか戸惑ってしまいますよね。
例えば、WASIMILの自社予約システムでスマホ対応の予約ページを作ったり、セグメント機能を活用して、パーソナライズされたサービスやマーケティングを実現することから始めてみませんか?
WASIMILは、PMS、予約システム、CRM、レベニューマネジメント、マーケティング支援ツールなど、ホテル運営に必要な業務を一括サポートする総合ホテルシステムです。
中小規模ホテル・旅館のDXについて、お気軽にWASIMILにご相談ください。