
2025年、旅行者はどのようにホテルを予約するか: 検索ジャーニーの始まり
2025年、旅行業界は勢いを取り戻しています。
そして新しいタイプのホテル宿泊客が現れています。今日の旅行者は、古い習慣と新しいテクノロジーによって生まれた行動を融合させ、その多面的なアプローチから「全てを求める旅行者」などと呼ばれています。彼らは、ある日は旅行者向けのコミュニティサイトでホテルの情報を探し、次の日は音声アシスタントサポートを利用するような行動を取ります。
日本の宿泊業者が国内のゲストを迎えると同時に、記録的な数の外国人旅行者(2024年には3,700万人、パンデミック前のレベルを上回る)を迎えるには、こうした旅行者が現在どのように宿泊先を調査し、予約しているかを理解する必要があります。
本記事では、ゲストがホテルを探す際の最新のトレンドを踏まえつつ、あらゆる場面でビジネスの機会を獲得するために実践的に使えるヒントをお届けします。
旅行需要の復活と「全てを求める旅行者」
長年にわたる移動制限を経て、旅行者は失われた時間を取り戻そうとしています。世界的な調査によると、2025年に72%の人々が海外旅行を計画しており(2024年の65%から上昇)、日本はもっとも訪れたい国として第1位に選ばれています。
これらの旅行者は旅行計画においてより複雑なニーズを持っています。SiteMinder社の「Changing Traveller Report」では彼らを「全てを求める旅行者」と呼んでいます。コストに敏感であるにもかかわらず価値のある追加サービスにはお金を使う傾向があり、衝動的でありながら現実的で、デジタル情報に大きく影響されるのが特徴です。
重要なのは、従来のアドバイスへの依存度が低下し、オンラインリソースへの依存度が高まっているということです。約78%の人が旅行計画の一部にAIを使用することに前向きである一方、すべてをAIに任せたいと考えているのはわずか1割程度です。これは、旅行者が新しいテクノロジーを受け入れつつも、ホテルを選ぶ際には人間的らしさと信頼できる情報をまだ望んでいることを意味しています。
日本のホテル経営者にとって、この進化する旅行者像は、従来の運営方法では不十分だということを意味します。旅行者は今や、滞在場所を決めるために複数のプラットフォームとデバイスを使い分けています。彼らの需要を獲得するには、彼らの好みを「常に把握」し、ゲストが情報調査によく利用している場所でアプローチする必要があります。
次の章では、現代の旅行者がホテルをどこで探しどのように予約まで至るのか、そして宿泊業者が先を見据えどのように対応できるかを解説します。
旅行者はホテル探しをどこから始めるのか?
ゲストの意思決定の最初の段階は、あなたの施設が候補に入るかどうかが決まる、重要な段階です。最近のデータによると、旅行者がホテル探しを始める場所として最も使うのは、検索エンジンです。世界的に、36%の旅行者が宿泊施設の調査を検索エンジンから始めており、これは前年の26%から大幅に増加しています。言い換えれば、「次の旅行のためにホテルを探そう」と決めると、3人に1人以上が最初に「Googleで検索する」可能性が高いのです。
検索エンジンに次いで2番目によく使われるのはオンライン旅行代理店(OTA)で、旅行者の18%を占めています。多くの旅行者は、ホテルの比較を始めるために馴染みのあるOTAプラットフォーム(Booking.com、Expedia、楽天トラベルなど)に直接アクセスします。
検索エンジンとOTAの次に使われるものとしては、旅行者向けのコミュニティサイト(11%)、SNS(11%)、友人や家族からのアドバイス(7%)があります。少数派は旅行フェア、ブログ、あるいは直接ホテルの公式サイトから、ホテル探しを始めます。
興味深いのは、従来のチャネルと比較して新興チャネルがどのように成長しているかです。特に若い旅行者の間では、正直なレビューが見られるコミュニティの意見を信頼することから、ホテル探しの初期段階で、旅行者向けのコミュニティサイトを使用する人が前年比でほぼ倍増しています。これには、旅行者がホテルでの体験を共有する旅行レビューサイトやQ&Aボード(TripAdvisorやRedditなど)が含まれます。実際、旅行レビューサイトは旅行計画全体に影響を与えるトップリソースの1つで、ある調査では、36%の旅行者がレビューサイトをメインの参考情報としていると回答しています。
同時に、友人や家族からの個人的な推薦を参考にする人は、3年連続で減少しています。口コミはまだ重要ですが、多くの人が今や自分の身近な人々だけに頼るのではなく、オンライン上の大勢の人達の知恵を活用することを好むようです。

洞察:日本人と外国人の検索習慣の違い
これらの好みは市場によって異なることに注意するのが重要です。例えば、ヨーロッパの旅行者は検索エンジンを好むという世界的なトレンドと一致していることが多い(イタリア人は50%が検索エンジンから始める)のに対し、中国の旅行者は一般的な検索から始める可能性がはるかに低く(わずか20%)、代わりに自国のシステム内の特定のOTAやSNSアプリを好みます。
日本の旅行者が国内旅行を計画する場合は、じゃらんや楽天トラベルなどの国内サイトを使うかもしれませんが、日本のホテルを探す外国人旅行者はGoogleやグローバルなOTAサイトを通じてホテルを探す可能性が高いです。
このことを踏まえると、日本の宿泊業者は多言語で検索しやすいウェブサイトを持つことから、各国で人気のある主要なOTAで魅力的な存在感を出すことまで、国内と海外の両方のプラットフォームで簡単に発見されやすい状態にしておくことが重要です。

旅行計画におけるSNSと動画の影響
今の時代、旅行計画においてSNSは欠かせない存在となっています。全ての人がソーシャルプラットフォームでホテル探しをしているわけではありませんが、SNSの影響は現在、旅行計画プロセス全体に広がっています。旅行者はホテルの公式サイトを訪れるずっと前から、Instagramで休暇ためのアイデアを探したり、TikTokでルームツアーを視聴したり、Facebookのおすすめ投稿を保存したりしています。
最近の調査では、ソーシャルネットワークがどれほど重要かを示しています。Expediaのある調査によると、驚くことに77%の旅行者が旅行計画の初期段階でSNSを使用しています。インスピレーションはあらゆる場所に存在しており、Instagramの友人のビーチの写真やTikTokで話題の東京の個性的なホステルが、将来の予約のきっかけになるかもしれません。実際、SNSの投稿は旅行計画に明らかな影響を与えており、2023年に75%の旅行者がSNSで見たコンテンツが特定の旅行先を訪れるきっかけになったと言っています。
このトレンドは年齢層を超えて広がっています。旅行ブログを見ているのはZ世代だけではありません。驚くべきことに、30歳以上の米国旅行者の40%が旅行の情報調査にGoogleではなくTikTokを使用しており、短いビデオコンテンツの幅広い魅力を示しています。
ホテルにとって、情報調査ツールとしてのSNSの影響は、オンライン上での評判と露出がこれまで以上に重要になったことを意味しています。美しいInstagramのギャラリーやバズった動画は、数百万の人にあなたのホテルを発見させる手段になり得ます。逆に、SNS上で存在感がないことは、多くの旅行者にアプローチする機会を逃すことになります。
実例:
一部の先進的な取り組みを行っているホテルはSNSの波に乗ることに成功しています。例えば、ウィン・ラスベガスはプールパーティー、レストラン、アトラクションなどの魅力的な動画をTikTokで紹介することで新たなファンを呼び寄せており、新しいショーを紹介するキャンペーン動画の1つで、270万回以上の視聴を獲得しました。
重要なのは、TikTokのプロフィールに直接予約リンクを含めることで、視聴者の関心を公式サイトへの流入と直接予約にシームレスに変換したことです。同様に、ヒルトンはパリス・ヒルトンや有名なクリエイターが登場する10分間のTikTok動画の投稿、かつ視聴者が最後まで見るとポイント獲得のチャンスがあるという型破りなキャンペーンでバズりました。この動画1本で3,500万回以上の視聴を記録しています。
ヒルトンの実例は、プラットフォームに合わせたユニークなコンテンツが、ロイヤルティプログラムと直接予約の利点を上手く宣伝し、大規模な認知度を構築できることを示しています。
宿泊業者へのアドバイス:
ターゲットとなるゲストが利用する主要なSNSで、ホテルをアピールしましょう。ゲストに実際の体験をシェアするよう促し(ユーザー起点のコンテンツは現代の口コミです)、旅行インフルエンサーと協力するか、あるいはあなたのホテルの特徴を紹介する魅力的なコンテンツを自分で作成しましょう。すべてのいいね、コメント、シェアは、旅行者がホテルを探し始める際に候補先に選ばれるための、最初の一歩です。
参考
- SiteMinder, Changing Traveller Report 2025
- SiteMinder (Press Release), “SiteMinder’s Changing Traveller Report 2025 reveals 'everything traveller'”
- SiteMinder, Hotel Booking Trends 2025 (analysis of 125M reservations)
- Phocuswright, Travel Research Update 2025
- CrowdRiff (Expedia Group survey data on social media usage)
- TravelPerk, “70+ Online Travel Booking Statistics [2025]”
- eHotelier, “Beating the OTAs: A Case Study in Direct Booking”
- The Hotels Network, “How Hoteliers Are Turning to TikTok to Drive Direct Revenue”
- JNTO / Travel Voice, Japan Tourism Statistics 2024 (Inbound travel figures)
- Hospitality Technology News, “Over Half of Travelers Abandon Online Bookings”
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