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ホテルにおける顧客ペルソナの活用:SNSマーケティング戦略で予約数を増加させる | WASIMIL

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August 22, 2025

ホテルにおける顧客ペルソナの活用:SNSマーケティング戦略で予約数を増加させる

SNSマーケティングでのペルソナ活用

FacebookやInstagram、X(旧Twitter)やTikTokなどソーシャルメディアは、ホテルのブランド発信やファンづくりに欠かせないチャネルです。ペルソナを活用することで、SNSマーケティングの効果を一段と高めることができます。

まず適切なプラットフォーム選びです。

ペルソナごとに情報収集の習慣が異なるため、主要顧客が多く存在するSNSにリソースを集中しましょう。例えば20~30代のレジャー旅行者がペルソナであればInstagramやTikTokで映える写真や動画コンテンツを充実させます。実際、若年層やファミリー層の集客に成功した国内ホテルの事例として、FAV HOTELではインスタグラムに美しい写真を投稿し認知度アップを果たしました。投稿には英語も交えて訪日外国人にも訴求し、結果的に若者や家族連れの新規顧客を獲得しています。このようにターゲットに合ったSNSとコンテンツを選ぶことが重要です。

次に発信コンテンツの最適化です。

ペルソナの関心事に沿った情報発信を心がけます。例えばペルソナが「文化体験を好む30代女性」なら、地元の文化や芸術、伝統行事にフォーカスした投稿を増やすと共感を得られるでしょう。逆に「子連れ旅行の30代夫婦」であれば、お子様歓迎の設備紹介や家族で楽しめるアクティビティ情報を発信すると響きます。ペルソナごとに投稿のトーン&マナーも調整します。カジュアル志向の若者向けなら絵文字や砕けた口語調で親しみやすく、一方ビジネス層向けには丁寧で簡潔な表現を心がけるといった具合です。ペルソナが使う言葉や口調をそのまま拝借することで、「このホテルは自分たちのことを分かっている」と感じてもらえます。実際、Facebook社がある施策で10代ユーザーの言葉遣いを細かく研究し、違和感を与えていた表現を修正したところユーザーの反応率が向上したという事例があります。ホテルのSNSでもターゲット層の言語やノリに寄り添うことが大切です。

加えて、ペルソナに基づく創造的な戦略も時に効果を発揮します。

例えば沖縄のあるホテルでは、SNS運用上のペルソナを「あえて絶対に沖縄には行かないと決めている青森の山奥に住むおじさん」に設定したというユニークな試みを公開しています。一見ターゲットとかけ離れた人物像ですが、「沖縄に全く興味がない人でも思わず反応してしまうような投稿」を狙うことでコンテンツの質を高め、多くのユーザーの関心を引くことに成功しました。常識にとらわれず発信の幅を広げる逆転の発想でSNS上で話題を集めた例と言えるでしょう。

このようにペルソナは基本的にはターゲットそのものを指しますが、場合によっては「アンチ・ペルソナ」を想定してコンテンツを研ぎ澄ます手法もあります。いずれにせよ、SNSマーケティングではペルソナを起点に**「誰に届いてほしい情報か」**を明確にして発信することが、ファンの共感を呼び予約への導線を作る近道です。

Eメールマーケティングでのペルソナ活用

予約確認やニュースレター、キャンペーン案内などホテルのEメール配信にもペルソナ戦略を取り入れるべきポイントが多々あります。特にメールはセグメント配信との相性が良く、ペルソナごとに内容を出し分けることでエンゲージメントを大幅に高められます。

まず、メールリストをペルソナに合わせてセグメンテーションします。

全顧客に一斉送信で同じ内容を届けるより、ペルソナ別にグループ分けしてカスタマイズした方が開封率・クリック率とも向上します。ある小売企業の例ですが、顧客の性別や興味に関するデータを活用してリストを細分化し、ペルソナ別に内容を変えたメールキャンペーンを実施したところ、クリック率が42%も向上し、コンバージョン率は123%増加、1キャンペーン当たりの収益も141%アップしたという結果が報告されています。

ホテルでも、ビジネス出張が多いペルソナには平日の割引プランや会員プログラムを案内し、ファミリー層のペルソナには週末のキッズ向けイベント情報を送る、といった具合に内容を差別化できます。それぞれのペルソナが本当に関心を持つ情報だけを届けることで、「自分ごと」と感じてもらいやすくなり、メールから公式サイトへの誘導や再予約につながりやすくなります。

次にメール内容のパーソナライズです。

件名や本文中にペルソナの興味を引くキーワードを盛り込みましょう。例えばペルソナが「ワイン好きのカップル」なら件名に「○○産ワインのテイスティング付きプランをご用意しました」のように入れると目に留まりやすくなります。本文でも過去の滞在履歴に触れつつ「前回お楽しみいただいたバーラウンジに新メニューが登場しました」と知らせれば、ペルソナの関心をしっかり捉えられます。

近年はメール配信システムの高度化により、ユーザーごとの属性や行動に応じてコンテンツを差し替えるパーソナライズも容易になっています。予約エンジンやCRMと連携し、ペルソナ情報(たとえば「誕生月」「小学生以下の子供あり」等)に合わせて自動で特典メッセージを追加することも可能です。さらに、メールはOTA経由のゲストを囲い込むチャネルとしても重要です。

OTAからの予約客はホテル側で連絡先を取得できないケースもありますが、チェックイン時などにメールアドレスを聞き出してリスト化し、以降は直接コミュニケーションを取れるようにしましょう。その上で、OTA経由客に対しては「次回は公式サイトからの予約で特別割引や特典あり」といったペルソナ別のフォローアップメールを送ります。

例えば一度OTAで予約した価格重視タイプのゲストには、「公式サイトなら最低価格保証+次回〇%オフクーポン進呈」と訴求し、体験重視タイプのゲストには「公式限定で地元ガイドツアー付きプランをご用意」と提供すれば、それぞれのペルソナに響く形で次回は直販予約へ誘導できます。こうした丁寧なメール戦略によって、OTA依存から脱却しリピーター化を図ることが可能になります。

オンライン広告(リスティング・SNS広告)でのペルソナ活用

GoogleやYahoo!の検索連動型広告、FacebookやInstagramのターゲティング広告、リターゲティングバナーなど、有料広告でもペルソナを活用した戦略が威力を発揮します。広告は予算投下が伴うだけに、ペルソナに沿って無駄打ちを減らしROIを最大化することが重要です。

まずターゲティング設定への活用です。

オンライン広告の多くは配信ターゲットを年齢・地域・興味関心などで細かく指定できます。ここでペルソナの属性情報が役立ちます。例えばペルソナ分析から「欧米からのインバウンド富裕層」が有望と分かれば、地域を欧米諸国に絞り高所得者層向けメディアに広告を出す、といった戦略が立てられます。また、ペルソナごとに効果的な広告チャネルも見えてきます。30代の国内レジャー客ペルソナにはSNS広告、50代の富裕層ペルソナには検索エンジン広告や旅行系サイトのディスプレイ広告といった具合に、ペルソナ適合度の高いチャネルへ予算配分できます。

次に広告クリエイティブ(文言・画像)の最適化です。

広告の文言や画像にもペルソナの好みやニーズを反映させます。例えばビジネス出張者向けなら「駅チカ・高速WiFi・朝食付き」など利便性を強調し、カップル向けなら「記念日プラン・夜景ビュー確約」などロマンチックさを訴求します。実際、あるオンライン小売企業ではサイト訪問者データを分析し、ロンドン金融街からの閲覧が多くコンバージョン率も高いことに着目しました。そこでそのセグメント(大手投資銀行に勤めるビジネスマンというペルソナ)向けにメッセージを最適化したリターゲティング広告を配信したところ、新規獲得コストが34%削減され、平均注文額も13%上昇するという成果を上げています 。

ホテルでも、自社サイトを訪れたユーザーをペルソナ属性でセグメントし、それぞれに響く切り口の広告バナーで追跡すれば「もう一押しで予約しそうな層」を逃さず転換できるでしょう。例えばファミリー層ペルソナには退出後に「【公式サイト限定】お子様無料プラン実施中!」と追跡広告を出す、といった具合です。

また、ペルソナ別にランディングページを用意するのも効果的です。

広告をクリックして訪れた先のページ内容がペルソナの期待と合致していれば、そのまま予約に結びつく可能性が高まります。例えば「ペット連れ旅行者」のペルソナに対してペット可プランの広告を出すなら、そのリンク先はペット同伴可能な部屋タイプや設備紹介に特化したページにします。同様に「ワーケーション志向」のペルソナにはワークスペースや長期滞在向けサービスを詳しく紹介するページを用意すると刺さります。ペルソナにマッチした専用ランディングページで受け止めることで、広告費の無駄を減らしコンバージョン率を向上させることができます。

さらに、最近注目の動画広告でもペルソナ活用の余地があります。

旅行関連ではYouTubeなど動画で情報収集する層が増えています。Googleの調査によると、毎月ユニーク視聴者1億人以上が旅行関連の動画を視聴しており、旅行検討時に動画を見る人は64%、予約サイト選定時にも37%が動画を参考にするそうです。

ペルソナを踏まえて「その人物が惹かれるであろう映像コンテンツ」を制作し、広告配信すれば強い訴求力を発揮します。たとえば自然志向のペルソナには周辺の美景やアウトドア体験の動画を、グルメ志向のペルソナにはシェフ特製料理の映像を用意するなど、内容を練りましょう。「旅先の何に価値を感じる人か?」というペルソナ洞察を動画テーマに活かすことで、広告視聴から予約検討へのスムーズな導線を作れます。

このようにオンライン広告では**「正しい相手に、正しいメッセージを届ける」**ことが肝心ですが、ペルソナはその精度を高める羅針盤となります。実際、後述する事例にもあるように、ペルソナ別に広告展開することで直接予約が大きく伸びたホテルも存在します。広告予算を効果的に使うためにも、ペルソナを軸に据えた広告戦略を検討してみましょう。

OTA最適化へのペルソナ活用

Hotels.comやBooking.com、じゃらんや楽天トラベルなどOTA(Online Travel Agency)経由の集客は、手数料が嵩む反面、集客チャネルとして無視できません。ペルソナを意識することで、OTAに頼りすぎず直販予約を増やす戦略や、OTA上での魅力的な見せ方を最適化できます。

まず重要なのはOTA経由ゲストの直販転換です。

OTAからの予約客はホテルにとって「次回以降に直接予約してもらう」大きなチャンスです。ペルソナを把握していれば、そのゲストに合ったアプローチで囲い込むことができます。チェックイン時にメールアドレスなど連絡先を取得し(OTA経由予約ではプラットフォーム側が連絡先を開示しないケースも多いため、ここで自社データを確保します)、滞在後にお礼メールや次回予約特典を案内しましょう。この際、ペルソナに応じたメッセージを送ることがポイントです。価格重視タイプのペルソナには「公式サイト経由なら最安値保証」と伝え、体験重視タイプには「次回は直接ご予約で○○サービスをプレゼント」といった具合に、その人が価値を感じる特典を提示します。例えばOTA経由で来たファミリー客には「次回公式予約でお子様の朝食無料」、ビジネス客には「公式限定レイトチェックアウト可」など、ペルソナのニーズにマッチしたメリットを訴求するのです。こうしたターゲット施策によって、「次は直接予約しよう」と思わせることができます。実際に宿泊したゲストですから、メールを開封してもらえる可能性も高く、効果的です。

次にOTA上での見せ方の工夫です。

OTAサイト内でも、自社のページをペルソナに響く内容に最適化することで、最終的に公式サイト経由での予約増にもつなげられます。具体的には、写真や紹介文で強調すべきポイントをペルソナに合わせます。例えばペルソナが「小さな子連れ家族」なら、OTAに掲載するトップ写真をキッズルームやファミリーで楽しむ様子にし、紹介文でもベビーベッド貸出やキッズメニューなど安心材料を冒頭で訴求します。一方、「カップル向け高級ステイ」ペルソナであれば、美しい夜景が見える客室写真や記念日プランの存在を強調します。数多あるOTA上の宿泊施設一覧でも、ターゲット層の目に留まりやすくなるでしょう。

また、OTAの在庫や料金戦略の最適化にもペルソナ視点が役立ちます。

もしペルソナ分析で「この層は多少高くても公式サイトから直接予約する傾向が強い」と分かれば、その層に人気の高い部屋タイプや繁忙期の在庫はOTAに出さず公式サイト限定にする、といった戦略も考えられます。逆に「この層はとにかく安さ重視でOTAを常用する」ペルソナであれば、オフシーズンにOTA特価プランを提供しつつ公式サイトにも同条件プランを用意して取りこぼさない対応をします。例えばリゾートホテルが閑散期にOTA経由で安価な部屋だけ販売し、とりあえず自社を知ってもらった上で、そのゲストに直接予約のメリットを伝えて次回以降取り込む、といった二段構えも可能です。

さらに、自社の公式サイトとOTAの棲み分けもペルソナ志向で考えましょう。

検索エンジン経由でホテル名を調べた時、しばしばOTAが公式サイトより上位に表示されてしまいます。これを防ぐため、ホテル側で自社名のリスティング広告を出し「公式サイトでの予約が最安・特典あり」と明示する手法も有効です。これも広義には「価格に敏感なペルソナ」を逃さないための対策と言えます。また、トリップアドバイザーやGoogleホテル広告など、メタサーチ経由でも公式サイト料金を表示しておくことが重要です。ペルソナがどのような経路でホテルを検索・比較するかを把握し、その動線上に公式予約の選択肢を必ず置いておくことが大切です。

最後に、公式サイトだけの付加価値提供です。

これは厳密にはOTA対策ですが、ペルソナごとの訴求メッセージを作る上で欠かせません。例えば価格重視ペルソナには「最低価格保証」を、サービス重視ペルソナには「公式予約ならアーリーチェックイン可」や「ウェルカムドリンクサービス」といった、OTAでは得られない特典を用意します。そしてその情報を公式サイトやSNS、メール署名などあらゆる場所で発信し、潜在顧客に刷り込んでおきます。お得感や特別感を演出することで、「それなら直接予約しよう」と背中を押すわけです。

このように、OTAと上手に付き合いながら直販率を高めるには、ペルソナを起点とした緻密な戦略が求められます。ペルソナを理解していれば、**「どのOTA経由客をどう公式ファンに育てるか」**というプランも立てやすく、結果的にOTA手数料の圧縮と収益性向上につながるでしょう。

参照

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