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レベニューマネージメント

ホテルサイトの宿泊予約コンバージョン率ガイド

Written by:
Sae Watral
January 25, 2024

あなたのホテルでは、自社サイトのコンバージョン率(CVR)を正確に把握していますか?

平均的なOTA手数料は、15%〜30%。比較的に送客手数料が安い国内のOTAでも、少なくても宿泊料金の12%が手数料として差し引かれます。
つまり、OTA経由の宿泊予約が増えるほど、ホテルの利益率は下がっていくのです。

しかし逆にいえば、直接予約を増やしていくことで、同じ客室販売数でも収益はアップします。
そのため、すでに公式サイトへの集客対策を始めているホテル・旅館も少なくないでしょう。

では、あなたのサイトの訪問者のうち、実際にどれくらいが宿泊予約をしているのでしょうか?
せっかくサイトを訪れたのに、予約をせずにサイトを離れたのはなぜなのでしょうか?

コンバージョン率は、ホテルがウェブサイトを効果的に活用できているかを測る指標であり、より戦略的なレベニューマネジメントを行うための貴重なデータです。

この記事では、ホテル・旅館サイトのコンバージョン率を上げ、収益を最大化するための施策を解説していきます。

ホテルのコンバージョン率を高め、収益を最大化する

ホテルサイトからの直接予約を増やすには?

先ほどもお伝えしたとおり、ホテルの収益を上げるためには、自社サイトからの直接予約を増やすことが効果的です。

OTA手数料は契約内容によって異なりますが、目安としては、国内OTAの送客手数料8%〜、海外OTAなら12%〜。
さらに国内OTAは、送客手数料のほかにも、下記のような手数料が追加でかかります。

  • ポイント付与費:1〜2%
  • オンライン決済手数料:2%〜
  • アフィリエイト手数料:1%〜

例えば、10,000円の客室に対し、OTAに12%の手数料を支払っているとしましょう。
1日に10件のOTA経由の予約を直接予約に変えた場合、1日12,000円、年間438万円の増益となります。

直接予約のマーケティング施策

では直接予約を増やすためには、まずは、より多くの見込み顧客にホテルの公式サイトを訪れてもらわなければなりません。
そのための施策として、下記のような例が挙げられます。

ビルボード効果や直接予約を増やす施策については、「ホテルの直販予約を50%に上げる方法」で詳しく解説しています。

アクセス数の増加=収益アップとは限らない

しかしここで注意したいのが、たとえサイトアクセスが増えても、ウェブサイトが最適化されていない状態では、なかなか 宿泊予約につながらないという点です。
もちろん、サイトへの訪問者が増えれば、宿泊予約数も増えるかもしれません。

では、対費用効果はどうでしょうか?

例えば、あなたのホテルの自社サイトに毎月1000ユーザー訪れているとします。
そのうち10人が宿泊予約した場合、コンバージョン率は1%です。
この状況で、さらに宿泊予約を増やしたい場合、あなたなら、どちらの方法を取りますか?

  1. サイトアクセス数を月に2,000ユーザーに倍増させる
  2. サイト内のコンバージョン率を2%に上げる

どちらを選んでも、結果的に予約成約数は同じです。
とはいえ、新たに1,000ユーザーをサイトに流入させるためには、SNS広告やGoogle広告といったコストがかかります。
そのため、コンバージョン率を上げた方が効率的といえるでしょう。

ウェブマーケティングは、「サイトアクセスを増やすこと」ばかりに集中していては、思うような結果を出すことができません。
サイトを最適化して、より多くのサイト訪問者を宿泊客に変換すること、つまり、コンバージョン率を上げるための施策も同時に行わなければ、あなたのホテルのマーケティング施策が成功しているとは言えないのです。

ホテルWebサイトの最適化で収益を最大化

コンバージョン率(CVR)とは?

ホテル・旅館のウェブサイトにおけるコンバージョンとは、宿泊予約を指します。
コンバージョン率(CVR)は、あなたのホテルのウェブサイトに訪れた人のうち、宿泊予約に至った人の割合です。

宿泊予約サイトのコンバージョン率の計算方法

ホテルサイトのコンバージョン率は、下記の方法で割り出すことができます。

宿泊予約件数÷セッション数=コンバージョン率(CVR)

コンバージョン率を計算する手順

  1. 月間のセッション数を調べる
  2. ウェブサイトからの月間宿泊予約数を調べる
  3. 予約数をセッション数を割り、その数字に100をかける

コンバージョン率の計算に使う数値の把握には、後ほど説明するGoogleアナリティクスを活用します。

ホテル・旅館業界の平均コンバージョン率

一般的に、ホテル・旅館サイトの平均コンバージョン率は2%前後といわれています。
ところが実際には、ホテルの立地やタイプ、客室数などによって、平均コンバージョン率は大きく異なります。
参考までに、HOTEL BENCHMARKが調査した、ホテルサイトの平均コンバージョン率の一例を見てみましょう。

ホテルのランク別

  • 2&3つ星ホテル:2.35%
  • 4つ星ホテル:1.63%
  • 5つ星ホテル:0.85%

チェーンvs独立系ホテル

  • 大手チェーンホテル:1.9%
  • 中小規模の独立系ホテル:0.73%

ほかにも、客室数の多いホテルほどコンバージョン率が高くなり、都市部のホテルの平均コンバージョン率は、リゾート地の2倍以上という結果も報告されています。

もちろん、これらの平均値は目標を設定する際の指標にはなるでしょう。
しかし、あくまでも目安に過ぎません。
中には、コンバージョン率がほとんど0%に近いサイトもあれば、6%を超えるものもあります。
平均値と比較することよりも、現状のコンバージョン率を改善することに力を注ぎましょう。

ホテル予約のコンバージョン率向上

Googleアナリティクスでコンバージョン率を把握しよう

ホテルサイトのコンバージョン率を把握し、レベニューマネジメントに活用していくためには、Googleアナリティクスが必要不可欠です。

Googleアナリティクス(通称GA)とは、Googleが提供しているアクセス解析ツールで、サイトへのアクセス数、ユーザーの年齢や居住地、コンバージョンデータなどなど、マーケティングに有用な情報を分析してくれます。

今や日本の上場企業の8割以上が活用しているGoogleアナリティクスは、ウェブマーケティングのマストツールといっても過言ではありません。
もし、まだ導入していないなら、今すぐに導入することをおすすめします。

Googleアナリティクスを活用すれば、正確な宿泊予約のコンバージョン率はもちろん、つぎのようなコンバージョンを計測することも可能です。

  • レストランの予約
  • スパのパッケージの購入
  • 企業打合せ、パーティー、結婚式会場予約のお問い合わせ
  • ヨガクラスへの申し込み

ほかにも、数値として収集できるものなら、どんなものもコンバージョンとして計測できます。

Googleアナリティクスでコンバージョン率を把握しよう

Googleアナリティクスの指標

ホテルサイトを分析する際には、下記のようなGoogleアナリティクスの指標がよく使われます。

ページビュー数(PV)ページが閲覧された回数セッションユーザーがサイトを訪問し滞在した回数ユーザー数サイトを訪問したユーザーの数ページ/セッションユーザーが1セッションあたりに閲覧した平均ページ数離脱率特定のページでユーザーが閲覧を終了した割合直帰率ユーザーが、1ページのみを閲覧し、つぎのアクションを起こすことなくサイトを離れた割合平均セッション時間セッション時間の平均平均ページ滞在時間特定のページが閲覧された時間の平均コンバージョン設定された目標の達成

eコマーストラッキング

宿泊予約システムを使用している場合は、Googleアナリティクスのeコマーストラッキングを設定しましょう。

eコマーストラッキングを有効化することで、下記のようなデータの取得が可能になり、顧客がどのようにコンバージョンしたかが把握できます。

  • 予約数
  • 収益の発生量
  • 平均的な注文値
  • プラン別の販売実績
  • カテゴリー別の販売実績
  • オンライン予約のコンバージョン率
  • e コマースのコンバージョン率は次のように算出されます。
  • コンバージョン率=(トランザクション数/セッション数)×100(%)

目標完了トラッキング

あなたのホテルが宿泊予約システムを使用していない場合は、コンバージョンのトラッキングが困難です。

例えば、ユーザーがウェブサイトを見て宿泊予約をしたいけれど、予約システムがないので、電話で予約した場合。
これでは、ウェブサイトをみた結果の電話予約なのか、友人にすすめられた結果の電話予約なのかを見分けることができませんよね。
つまり、ウェブサイトから離れてしまった宿泊予約は追跡できないのです。

したがって、ユーザーに期待する目標行動として、以下のことを検討してみましょう。

  • お問い合わせフォームからの空き状況の確認連絡
  • Eメールによる宿泊予約の申し込み
  • 会場予約へのお問い合わせ
  • イベントへの関心表明

これらの行動には、額面上はお金のやり取りはありませんが、販売につながる可能性を持っています。
ような目標完了型の行動は、「リードジェネレーション(見込み客の獲得)」と呼ばれ、Google アナリティクスの目標設定では、こうした行動を測定して、結果分析することも可能です。

また、これらの行動にお金の価値を割り当てることもできます。
例えば、会場予約の平均販売価格を知っていて、リード(見込み客)の何%を販売に転換できるかを知っていれば、1リードがどれくらいの価値があるかの目安がわかります。

目標完了コンバージョン率は次のように算出されます。
コンバージョン率=(セッション数/目標完了数)×100(%)

ホテルサイトのコンバージョン率を上げる5つの施策

コンバージョン率について理解したところで、つぎは、ホテルサイトのコンバージョン率をアップするための施策を見ていきましょう。
ホテルサイトのコンバージョン率を上げるために、今すぐ取り入れるべき施策はつぎの5つです。

  1. ウェブサイトの最適化
  2. 予約フォームの最適化
  3. Googleアナリティクスの結果を活用
  4. ページではなくWebサイト全体を見る
  5. 口コミ・レビューを重視

では、ひとつずつ説明していきますね。

1.ウェブサイトの最適化

ホテルサイトのコンバージョン率を上げるための施策1つめは、ウェブサイトの最適化です。

信頼性が高く、ユーザー目線の使いやすいウェブサイトにするために、最低限でも下記の4点に注意しましょう。

  1. 表示速度
  2. レスポンシブデザイン
  3. 魅力的な画像
  4. シンプルな導線

表示速度

Googleによると、ページの読み込み時間が長ければ長いほど、離脱率が高くなります。

読み込み時間離脱率1~3秒32%増加1~5秒90%増加1~6秒106%増加1~10秒123%増加

ページの表示速度が遅いと、せっかくウェブサイトを訪れてくれた見込み顧客を逃してしまうだけでなく、SEOにも悪影響を与えるので要注意です。

PageSpeed Insights」などのツールで表示速度を測定し、改善点を確認しましょう。

レスポンシブデザイン

レスポンシブデザインとは、ウェブサイトを閲覧するデバイスのスクリーンサイズにあわせて、自動的に切り替わるデザインのことです。
最近では、スマートフォンやタブレットでウェブサイトを閲覧したり、情報を検索するのが当たり前になりました。

JTB総合研究所の「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2019)」によると、すでに2019年の時点で、スマートフォンでの旅行関連商品の購入が過半数を超えています。
スマートフォンユーザーを意識したレスポンシブデザインを採用することは、ウェブサイトの最適化に欠かせないポイントといえるでしょう。

ホテルWebレスポンシブデザインによるコンバージョン向上

魅力的な画像

宿泊施設や客室から見える景色、美味しい料理を楽しむ風景など、質が高く、魅力的な画像をウェブサイトに載せましょう。
それらの画像により、お客様は自分がそのホテルで素敵な体験をしているイメージを描きやすくなり、コンバージョンへの後押しとなります。
実際に、エクスペディアの実証実験でも、宿泊施設サイトの写真コンテンツの完成度がコンバージョン率に影響するという結果が報告されています。

また最近では、360度パノラマビューで施設案内をするなど、より視覚に訴える工夫を凝らしたホテル・旅館も増えてきました。

ただし、読み込みに時間がかからないよう、画像の最適化を行うことを忘れずに。

シンプルな導線

顧客が見たいページがすぐに見られるよう、わかりやすいメニューを設置しましょう。
予約ページまでの導線が複雑だと、途中で離脱する可能性が高くなります。

2.予約フォームの最適化

ホテルサイトのコンバージョン率を上げるための施策2つめは、予約フォームの最適化です。

予約ページはシンプルで使いやすく、予約フォームはできるだけ最小限の入力事項にとどめましょう。
例えばエクスペディアは、予約フォームから「会社名」というたった1項目を削除したことにより、コンバージョン率が向上。年間1200万ドルの増益につながったという事例もあります。
予約フォームの入力事項が多いと、顧客のモチベーションが途中で低下。そうすると、ショッピングカートには入ったのに、コンバージョンに至らない「カゴ落ち」が起こってしまいます。

また、ウェブサイトと同様に、予約ページもレスポンシブデザインで、モバイルフレンドリーであることが大前提です。

WASIMILの自社予約システム

WASIMILの自社予約システムは、ユーザー目線のシンプルなデザインを採用。料金、部屋のタイプなど選択がスムーズにできるようになっています。

WASIMILの自社予約システムの特徴

  • レスポンシブデザイン
  • ホテルのウェブサイトのトーンに合わせてデザインをカスタマイズ
  • 10言語に対応
  • クレジット決済連携(通信手数料不要)
  • アドオン機能で追加サービスを販売
  • 宿泊を検討したお客様の予約行動を分析
  • 公式Facebookページに組み込み可能

WASIMILは、PMS、自社予約システム、CRM、レベニューマネジメントなど、ホテル運営に必要な機能が一元管理できる総合型ホテルシステムです。
外部のサービスやツールをそれぞれ導入する手間や手数料が節約できるので、収益をアップを目指す中小規模ホテルにおすすめします。

3.Googleアナリティクスの結果を活用

ホテルサイトのコンバージョン率を上げるための施策3つめは、Googleアナリティクスで得たデータの活用です。

例えば、Googleアナリティクスでは、サイトを訪れるユーザーの年齢層のデータが取得できます。
若年層が多いなら、お得なプランを打ち出したり、リタイア層が多いなら、ウェブサイトのフォントを大きめにしたりといったことも可能です。

ほかにも、ユーザーの居住地として都道府県や国もわかります。
外国人が多いなら、サイトの多言語化を導入も検討しましょう。ある特定の国が多いとわかれば、その国の大型連休には連泊キャンペーンを実施することもできますね。

また、ウェブサイトのどのページがよく見られているかということもわかります。
人気のページがわかれば、そのページを前面に押し出して、ユーザーの関心をひきつけられます。

このように、Googleアナリティクスで取得したデータを活用すれば、明確なターゲティングができ、ウェブサイトの最適化が可能です。

4.ページではなくWebサイト全体を見る

ホテルサイトのコンバージョン率を上げるための施策4つめは、個々のページレベルではなく、ウェブサイト全体のコンバージョン率を見ることです。

ウェブサイト全体のコンバージョン率は、ウェブサイトに投入されたすべての努力や施策を反映しています。

もしページレベルで見る場合、ブログ1ページと宿泊予約ページのコンバージョン率を同等に比較することになります。
宿泊予約ページのコンバージョン率が高いのは明らかなので、この2つのページに同じコンバージョン率を求めるころはできません。

しかし、だからといってブログ1ページが、何の役に立ってもいないというわけではありません。ブログをきっかけにホテルに興味を持ち、間接的に宿泊予約につながることも珍しくないのです。

したがって、ブログや宿泊予約ページ、その他コンテンツなどを総合的に評価するために、ウェブサイト全体のコンバージョン率に注目しましょう。

ホテルウェブサイトのコンバージョン率向上

5.口コミ・レビューを重視

ホテルサイトのコンバージョン率を上げるための施策5つめは、口コミやレビューを重視することです。

トリップアドバイザーのアンケート調査では、72%が宿泊施設やレストランなどを予約する前に、口コミをチェックしていると回答。
そのため、あなたのホテルに対する悪いレビューがあれば、できるだけ素早く対応することが重要です。
お客様が不満に感じた原因を聞き出し、適切に対処することで、ネガティブなレビューを、ポジティブな印象に変えることも不可能ではありません。

良いレビューは、ホテルのウェブサイトにリンクさせ、見込み顧客が簡単に参照できるようにしておきましょう。
例えば、トリップアドバイザーの口コミや評価は、無料ウィジェットを使って簡単に自社サイトに埋め込むことができます。
また、ウェブサイトをSNSと連携させるのもいいでしょう。

良いレビューも悪いレビューも、どちらも上手に対処すれば、コンバージョン率アップに活用できる貴重な存在なのです。

まとめ

今回は、ホテルサイトのコンバージョン率(CVR)についてお伝えしてきました。
ホテルが直接予約を増やして、収益をアップしていくためには、自社サイトへの集客と同時に、コンバージョン率を上げる施策が必要不可欠です。
そのためにはまず、Googleアナリティクスで正確なコンバージョン率を計測し把握すること。そして、Googleアナリティクスのトラッキング結果を活用して、ウェブサイトや予約フォームを最適化していきましょう。

ほんの小さな改善が、コンバージョン率を大きく向上させるきっかけになるかもしれません。

公式サイトのコンバージョン率を見直して、直接予約を増やしていきたい方は、ぜひお気軽にWASIMILにご相談ください。

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