Blog
レベニューマネージメント

キッズフレンドリーの施策でホテルのRevParを増加させる方法とは

Written by:
Mayumi Nishimo
March 7, 2024

ホテルマーケティングで重要となる指標のひとつにRevParと呼ばれるものがあります。RevParとは、Revenue Per Available Room(レベニュー・パー・アベイラブル・ルームズ)の略で、その意味は、販売可能な客室1室あたりの収益をを示す値のこと。

RevParが上がればその分、ホテルは1室あたりの単価を上げ、効率的なホテル運営ができていると言えるわけです。

今回のテーマはファミリー層に特化した「キッズフレンドリー施策」について。実は、キッズフレンドリー施策に注力することで、RevParの増加を狙うことが可能です。

この記事では、

・なぜキッズフレンドリー施策がRevPar増加に繋がるのか

・具体的な施策にはどのようなものがあるのか

などについて解説していきます。今後、より効果的なホテル運営を目指す方にぜひ参考にしていただきたい内容です!

なぜ今キッズフレンドリーなホテルを目指す必要があるのか

本題に入る前に、なぜそもそもキッズフレンドリーなホテルを目指すことがそれほど大事なのか、その理由について解説しておきましょう。

閑散期対策として高い効果が見込める

まず一つ目の理由は、「ファミリー層にアプローチすることで閑散期対策に高い効果が見込める」という点。

キッズフレンドリーなホテルがターゲットとしているのは、もちろんファミリー層の顧客です。家族旅行というのは非常にランダムなタイミングで起こりうるもの。

もちろん、年末年始やお盆、そしてゴールデンウィークなどは人気が高まります。しかし、家族旅行はそれ以外にも、

・子どもの誕生日

・夫婦の結婚記念日

・子どもの入学・卒業

など、さまざまな節目に企画されるもの。閑散期であろうが大きく影響するとは限りません。

つまり、ファミリー層をつかんでおくことで、閑散期に客足が大きく落ち込む事態を予防する効果があるのです。

さらに、ファミリー層は1部屋あたりの宿泊人数が多くなる傾向にあるため、結果的にRevPar増加にも繋がります。

閑散期を乗り切るための対策については、こちらの記事にも詳しく紹介しています。ぜひ合わせて読んでみてくださいね。→​​ホテルが閑散期を乗り切るためのマーケティング戦略3つの施策

幅広い年齢層の潜在顧客にアプローチする鍵となる

家族旅行では、親子での旅行はもちろん、3世代での旅行も珍しくありません。

この場合乳幼児の子どもから親世代である20代30代、さらに祖父祖母の世代である60代以上まで、幅広い年齢層を一気に惹きつけることができます。

ホテルマーケティングにおいて非常に重要なのが「宿泊した顧客によるレビュー」。

ファミリー層の心をつかむことで、若者から中高年まで幅広い世代のファンを増やすことが可能になります。

ファンになってくれた顧客が、ホテルについてポジティブな発信をすれば、それはかなり強力な広告となり、新たな顧客を呼び寄せてくれるでしょう。

そもそもホテルにおけるキッズフレンドリーとは何か

それでは、ここからはあなたのホテルを今よりももっとキッズフレンドリーなホテルにするために、何が必要なのかを考えていきましょう。

キッズフレンドリーなホテルとは、子ども連れに喜ばれるサービスが豊富にあるホテルのこと。家族旅行や3世代の旅行などでは、それぞれの顧客のニーズが全く異なります。

すべての世代の顧客が「おお!このホテルにはこんなサービスがあるのか!素晴らしい!」と喜んでくれるようなサービスをホテル側が準備しておく必要があるのです。

キッズフレンドリーなホテルと言っても「子ども向けのサービスだけが充実しているホテル」ではありません。

子どもを持つ親や祖父母までが快適に過ごせるホテルこそが、キッズフレンドリーなホテルと言えるのです。

キッズフレンドリーなホテルにするために考えるべきこと

では、あなたのホテルがもっとキッズフレンドリーなホテルへと変わるためには、どのような点を改善していけば良いのか、具体的に解説していきましょう。

キッズフレンドリーなホテルとは、前述の通り「ファミリーで滞在する全ての方に喜ばれるサービスのあるホテル」のことです。

つまりは、

・子ども

・子どもの両親

・子どもの祖父母

この3世代の顧客が「こんなホテルを待っていた!」と感動するような施策を考えなければならないということ。ここでは、例としていくつかのサービスを挙げていきます。取り入れられそうなアイデアは積極的に実行してみてくださいね。

両親向けのサービス

子どもを持つ親の立場に立ってどのようなサービスがあるホテルが魅力的に映るかを想像してみましょう。

アイデアとしては以下のようなものが考えられます。

・子どもを預けて親だけで楽しめるロマンチックディナー

・産後ママのためのアクティビティやスパのトリートメント

・子どもと一緒に参加できる水泳教室

・親子で楽しめる体験型アクティビティ

子どもの世話に追われるだけの滞在ではなく、たまには二人でデート感覚を味わってもらえるような施策。または日々の子育てや家事で疲れたママたちに「ご褒美スパ」なども喜ばれるはずです。

また、ファミリーの旅行では子供も大人も楽しめるアクティビティがあると満足度が一気に上がります。

選べるアクティビティをパッケージに含めた宿泊プランも企画してみると良いでしょう、。

例:ヒルトン成田の親子で楽しめるアクティビティー

出典:ヒルトン成田公式HP

牛の乳搾り体験やアヒルのレース、バター作り(有料)などの体験教室が親子で楽しめる宿泊プランあり。千葉県で乗れるのはここだけという『セグウェイ(有料)』(18歳以上のみ)もあるので、大人もしっかり楽しめます。

参考:ヒルトン成田「成田ゆめ牧場入場券&ご朝食付プラン」

乳幼児(3歳未満)向けのサービス

3歳未満の乳幼児向けのサービスについても考えてみましょう。キッズフレンドリーなホテルとしてホテルをアピールするためには、最低限以下のようなサービスは整えておくべきです。

・ベビーベットの無料貸し出し

・おむつ用のゴミ箱の設置

・おむつを変えるためのマット

・ おしりふきやクリームなどのベビー用品を完備させる

・ベビーシッター

・託児所

これ以外にも親子で楽しめるアクティビティや、赤ちゃん専用のベビーブレックファストなども喜ばれるでしょう。全て、保育士の資格を保持したスタッフが担当するようにしておけば、親御さまにも安心して任せてもらうことができます。

例:マンダリンオリエンタル東京の乳幼児向けサービス

参考:マンダリンオリエンタル東京公式HP

お客様の要望に応じて、ベビーベッドまたはエキストラ ベッド(11歳までのお子さま)、子供用浴衣、スリッパ、バスローブ、赤ちゃん用スキンケアセット、オーガニックコットンのタオル、赤ちゃん用のバスタブなどを無料で利用することができるサービスあり。

また、レストラン利用時に乳幼児のお子さま向けの離乳食も用意してもらうことが可能となっています。

参考:マンダリンオリエンタル東京の乳幼児向けサービス

幼稚園〜小学生の子供向けのサービス

幼稚園から小学生の子ども向けのサービスについては、アクティビティがメインになります。

・子どもサイクリングツアー

・マリンスポーツ

・宝探しツアー

これらのアクティビティを託児を含む形で提供することで、両親や祖父母がその間好きなようにリラックスして時間を過ごすことが可能になります。

また、子ども連れのファミリー客の滞在する客室には、おもちゃのルームサービスメニューを考えてみるのもおすすめです。数に余裕がある場合は、はじめから客室におもちゃ箱を設置しておくのも良いでしょう。

他にも、子ども客専用のウェルカムギフトなどがあると喜ばれます。テディベアやお菓子の入った可愛らしい箱、ヨーヨーなどのおもちゃでもいいですね。

例:ペニンシュラ東京の子供向けサービス

出典:ザ・ペニンシュラ東京公式HP

客室で利用可能な、材料は紙パイプでハサミで切って組み立てるPIPEROIDでは、アンバサダーのPeterベアや忍者など様々なデザインからひとつ選ぶことが可能。

バスルームには、洗面台用のステップ、ボディケアセット、歯ブラシセット、ボディスポンジと動物や魚の形をした水鉄砲が備えられています。

また、アメニティも充実。キッズサイズのスリッパ、バスローブやお子様用の浴衣(120cm)を利用することができます。

参考:ザ・ペニンシュラ東京の子供向けサービス

祖父母向けのサービス

子どもの祖父母も一緒に滞在する3世代でのホテルステイでは、祖父母向けのサービスも考えておく必要があります。

アイデアとしては以下のようなものが喜ばれるのではないでしょうか。

・バリアフリーの客室へのアサイン

・近隣の美術館や博物館のチケット込みプランもしくは割引券配布

・茶道教室、華道教室の開催

・食事を和食メインに変更するオプション

「私たちはもう歳だからホテルもなんだか居心地が悪くて・・」と遠慮しがちな祖父母世代を取り込むためには、上記のようなホテル滞在を可能な限り居心地の良いものにする工夫や、抵抗なく参加できるアクティビティを企画するのが効果的です。

例:HOTEL THE MITSUI KYOTOのアクティビティ

出典:HOTEL THE MITSUI KYOTO公式HP

HOTEL THE MITSUI KYOTO 自慢の茶居は、茶聖・千利休を祖とする三千家の一つである武者小路千家家元後嗣・千宗屋(せん・そうおく)氏が監修。

武者小路千家の茶道家の先生より手ほどきを受けたアンバサダーに、茶居にて立礼式のお点前を披露いただける貴重な時間を過ごすことが可能です。

参考:HOTEL THE MITSUI KYOTO「エクスペリエンス紹介ページ」

メールキャンペーンのセグメンテーション機能2つの活用方法

さて、ここまででキッズフレンドリーなホテルに改変していくための施策についてはイメージが湧いてきたと思います。

こからは、それらの施策をメール機能を使い告知していく部分について解説します。

ホテルにおけるメールキャンペーンの重要性についてはこちらの記事でも以前紹介させていただきました。

ホテルがEメールマーケティングを重視するべき7つの理由

メールキャンペーンのセグメンテーション機能を活用することで、ターゲットを絞り込み、効果的に潜在顧客にあなたのホテルの自慢のサービスを告知することが可能になります。

ここではセグメンテーション機能を活用することで、具体的にどのようなアプローチができるのか、2つの例を紹介していきましょう。

子ども連れの顧客向けに特別プランや割引の告知ができる

セグメンテーション機能で、ファミリー旅行に興味がある顧客層を正確に分類することができれば、その顧客のみに「ファミリー向け特別プラン」や「お子様連れのお客様限定の割引プラン」の告知をすることが可能になります。

広く浅くこれらの告知をしたところで、効果はあまり望めませんが、セグメンテーション機能を使うことで、ターゲットを絞り効果的にアピールすることが可能になります。

子ども連れの顧客に効果を発揮するアップグレードが提案できる

セグメンテーション機能を活用することで、ファミリー層に高い効果が見込めるアップグレードの提案が可能になります。

・ファミリー利用のみ客室の無料アップグレード

・ファミリー利用のみ客室のアメニティを大幅に追加

など、さまざまなアップグレードを効果的に告知することで、対象となる潜在顧客に「それなら宿泊してみたいかも!」と思ってもらえる可能性を高めることができます。

キッズフレンドリー施策をアピールしたメールキャンペーンの例

ここからは、さらに詳しくキッズフレンドリーをアピールしたメールキャンペーンの例を紹介していきます。

キッズフレンドリー施策には、前述の通りかなりたくさんのアイデアがありますが、ここでは特に顧客の興味を強く惹けるものを優先して紹介しています。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

キッズクラブの案内

親たちがゆっくりと自分の時間を満喫するために欠かせないのがキッズクラブ。メールキャンペーンでしっかり告知していきたい大きなポイントです。

親たちが求めているキッズクラブとは、

・セキュリティ面で100%安心できる

・子どもたちを飽きさせることのないアクティビティ

・フレキシブルな時間帯で柔軟に対応可能

・幅広い年齢に対応している

などの条件を兼ね備えたキッズクラブ。これらの特徴をアピールし、親たちに貴重な休息やデートの時間を体験してもらえることの素晴らしさを伝えましょう。

滞在中に利用できる簡易キッチンの案内

ファミリー層に喜ばれるもののひとつに「キッチン」があります。客室内にキッチンが備わっている場合はそのアピールを、共用スペースに簡易キッチンがある場合はそのメリットを存分に伝えましょう。

食べ盛りの子どもを持つ親たちにとって、キッチンがあることのメリットはかなり大きいです。また、乳幼児連れのお客様にとっても、離乳食を作ったりミルクを温めたりできる設備が万全に整っていると大変喜ばれるでしょう。

ファミリーでの滞在をイメージさせる画像や動画の配信

メールキャンペーンでは、写真や動画をふんだんに使い、目で見てパッとイメージができるように工夫することが大切です。

ファミリー層にはファミリーでの滞在を視覚的にイメージできるよう、子どもたちが楽しんでいる写真やアクティビティ中の動画、親たちが子どもたちと別々にそれぞれの時間を楽しんでいる様子が伝わるショートムービーなどを配信しましょう。

口コミやSNS投稿特典の案内

他のホテルでなくあなたのホテルを選んでもらうための最後の後押しとなるのが、口コミやSNSの投稿。これらは、実際に宿泊した人の「生の声」ですから、強力な効果を見込むことができます。

ホテルにおけるSNS活用のメリットについては、以前こちらの記事でも詳しく開設させていただきました。

ホテルのSNS活用の3つのメリットと成功させるための7つのポイント

口コミやSNS投稿でホテルでのファミリーステイを魅力的に語ってもらうためには、顧客の行動をひたすら待つしか無いのかと言えばそうではありません。

ホテル側から「口コミもしくはSNSにタグづけ投稿で、○○のプレゼント」などのキャンペーンを発信しましょう。

具体的には、

・近隣の遊園地・水族館・動物園などの優待チケットプレゼント

・客室アップグレード

・お食事アップグレード

などが挙げられます。何か付加価値を見出すことができれば、顧客は多少面倒であってもホテルの口コミ投稿やSNS投稿をしてくれるようになるもの。

そのための付加価値は、ホテル側が顧客へ差し出す必要があると言えますし、そのオファー以上のリターンを見込むことができるためやらない手はありません。

ホテル内ショップの案内

キッズフレンドリー施策は、滞在する客室にとどまらずホテルのさまざまな施設に散りばめておくことが大事です。

メールキャンペーンでは、ホテル内のショップの品揃えに触れるのも効果的です。ショップには、子ども連れに喜ばれるようなアイテムを多数取り揃えておきましょう。

例えば、

・日焼け止めクリーム

・おむつ

・子ども用のスナック

・ベビーカー貸出

・子ども用のハイチェア貸出

・ベビーバス貸出

これらをアピールすることで、「万一のことがあっても安心して滞在できるホテル」というイメージを顧客に植え付けることができるはずです。

値下げではなく付加価値をつけることで顧客の興味を惹きつける

ホテルの収益を上げるために何ができるのかと考えるとき、多くの方が「割引」のことばかりを考えがちです。確かにディスカウントすることで空室を埋める効果がありますが、そのデメリットも無視できません。

値下げすることのデメリットには以下のようなものが挙げられます。

・ホテル自体のイメージが「チープ」な印象になる

・割引が当たり前になり正規料金で宿泊する顧客が減る

いつも値下げばかりで叩き売りしているようなホテルに対して、「高級感」を感じる人はきっといないと思いませんか?

値下げをする際には、ブランドのイメージを傷つけるリスクが伴うことを考えなければなりません。さらに、顧客が必ずしも「安く宿泊できればいい」と考えている保証はなく、むしろ「価値のあるものに対しては費用をかけても構わない」と考える顧客層は少なくないのです。

顧客の興味を惹きつけることをゴールにするならば、値下げではなく「付加価値」を付けることを考えましょう。そして、その付加価値を効果的に顧客に対して発信していくことで、集客UPを狙いましょう。

宿泊料金の値下げは、満室にするための確実な方法のように思えますが、実は逆効果になる可能性があります。

値下げをする際には、ホテルの信頼性を損なわないように注意する必要があります。価格は旅行者にとって大きな動機になりますが、それだけが販売の刺激ではありません。

誰もが、自分が支払ったものを得ることができることを 知っている。今日の経験豊富な旅行者は、価格に見合った価値を求めている。

まとめ:Wasimilの機能を活用し効果的なホテルマーケティングを!

今回は、ホテル運営において「キッズフレンドリーなホテル」を目指すことがRevParの引き上げに繋がるというテーマでお話ししました。

キッズフレンドリーなホテルは、幅広い世代に好まれるホテルです。キッズフレンドリーなホテルとして成功すれば、結果的にファミリー層だけでなく、老若男女問わず幅広い顧客層から集客できる結果が待っています。

効果的な施策を考え実行することはもちろん大事ですが、マーケティングにおいては「ターゲットを絞ったアプローチ」が極めて重要。

つまり、セグメンテーションの部分を正確に、かつ効率的に整えていくことが成功へのカギとなります。

Wasimilには、メールキャンペーンを配信する際に使えるテンプレートや、配信する顧客を的確に絞り込んでいく際に役に立つセグメント機能が備わっています。

ぜひWasimilの機能を最大限に活用し、効果的なキャンペーン配信を効率的に進めていきましょう。

Thank you! Your submission has been received!
Oops! Something went wrong while submitting the form.
Share this post
リンクをコピー
wasimil.com/blog/how-to-increase-hotel-revpar-with-kid-friendly-policies
url

Related Articles

テクノロジー

宿泊業必見!IT導入補助金の基礎知識と申請方法をわかりやすく解説

この記事を読む
ホテル運営

今すぐ補助金で賢く導入!宿泊業の人材不足と業務効率化を一挙解決する方法

この記事を読む
レベニューマネージメント

閑散期に有効なマーケティング戦略のヒント

稼働率が下がる閑散期、有効活用できていますか? 閑散期にこそできる有効なマーケティング戦略のヒントを3つのポイントで解説します。
この記事を読む