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ホテルマーケティングにおけるKPIとは|覚えておきたい10の指標について解説!

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February 20, 2024

マーケティングに関する用語にはさまざまなものがありますが、皆さんはどのくらいマーケティング関連の専門用語をご存知ですか?「聞いたことはあっても、あまり意味がわからない」というあいまいな理解のままになってしまっているマーケティング用語もきっと多いのではないでしょうか。

今回の記事では、ホテルを運営する皆さんにぜひ知っておいていただきたい、ホテルマーケティング関連の専門用語について解説していきます。これを機に、マーケティングへの理解をさらに深めましょう!

マーケティング全般における重要ワード「KPI」とは

KPIという用語は、ホテルに限らずマーケティング全般における頻出ワード。きっとこれまでに目にしたことがある方は多いはずです。ここでは、まずはじめに理解しておきたい「KPI」について詳しく解説していきます。

「KPI」は「重要業績評価指標」のこと

KPI(Key Performance Indicator)を日本語に訳すと、「重要業績評価指標」となります。つまり、組織や企業が設定した目標についてどのように行動しているかを示す測定可能な数値のことを意味するのがKPI。ホテルにおけるKPIには平均宿泊料金などが挙げられます。ホテル業界のKPIは、ホテル運営における特定の分野、また施設全体のパフォーマンスを測定する値または測定基準を意味します。つまり、何がどの程度目標達成に近づいているのかを数値で明らかにするのがKPIなのです。

KPIはそのときそのときの数値をリアルタイムで追っていくことがとても重要であるため、これを可能にするためにシステムを導入するホテルも増えています。例えば、WASIMILのようなクラウドベースのホテルプロパティマネジメントシステムがあれば、あらゆる規模のホテルにおけるKPIと、その他のビジネスインテリジェンス機能を簡素化し、自動化することができてとても便利。KPIを使用すれば、ホテルのパフォーマンスを高めるための重要な改善点を分析し、開発することができます。また、過去の傾向を分析したり、現状のパフォーマンスを設定した目標値や競合他社、市場全体のパフォーマンスと比較したり、将来のパフォーマンスを予測するのに役立つ洞察が可能になります。

参考記事:データ健全性を高めて効率的なホテル経営を!データマネジメントの基本を解説

KPIという言葉の意味、大まかには理解いただけたのではないでしょうか。ここからは、ホテル業界における成功を理解し定義する上で、極めて重要な役割を果たすKPIについて、さらにくわしく解説していきます。

KPIはどのような場面で役に立つ?

ホテルに限らずどの業界においても、過去の実績と成功のデータはあるはず。ホテル業界も例外ではなく、ホテルのパフォーマンスを分析・評価する際に最も役に立つのがKPIデータです。KPIデータを記録しておくことで役に立つ場面はたくさんあります。KPIを正確に把握することで、以下のようなメリットが得られます。

  • データに基づいた意思決定ができる
  • ホテルの長所と短所を客観的に分析できる
  • ホテルが今後目指すべき目標設定がしやすくなる

これらはKPIがなければ「なんとなくこうすればいいかも」という曖昧な根拠のもとでしか行うことができません。KPIを活用することで、根拠のある戦略を打ち出すことができ、当然その成功率も上がっていきます。

ホテルにおけるKPI!覚えておくべき10つを一挙解説!

ホテル業界だけでKPIとは何かを考えてみましょう。ホテルにおけるKPIとは、平均客室単価や、平均稼働率などさまざまなものがあります。つまり、KPIなしにホテルマーケティングの成功などあり得ない、というほどまでに重要性の高い数値を総称してKPIと呼ぶのです。ここからは、ホテルマーケティングにおいて必須とされるKPIの中から、特にオンライン配信とホテルのウェブサイトに関連するものを10つ選定し、用語として解説していきます。

1.販売可能客室総数  

販売可能客室総数とは、ホテルの総客室数から販売不可の客室数を除いたものです。販売済み客室数を総客室数で割ることで算出されます。稼働率は、分析したい特定の期間(日、週、月、年)に適用することができます。
計算方法   総客室数 - 注文済み/未使用/在庫切れの客室数

この指標が重要な理由

販売可能客室総数を把握できていなければ、目指すべき予約数を把握することは到底不可能です。また、ホテルのすべての財務指標においても必要不可欠ですね。例えば、ホテルが300室あるとして、そのうちの290室しか稼働していない場合、その期間では290室がRevPARParなどの指標に使用されるベースとなります。

2.平均客室販売単価(ADR - Average Daily Rate)

ADRとは、客室あたりの平均単価を示す指標です。この指標は、特定の期間の総客室収入と、同じ期間内に得た宿泊収入と稼働したホテルの部屋の総数を比較し評価するものです。

計算方法:ADR = 宿泊料収入 / 宿泊利用済み客室数

(宿泊利用住み客室でも、VIPゲストのために無料で提供される部屋、コンプリメンタリールーム、従業員が使用している部屋は含まれません)


例えば、客室数100室、稼働率50%、総客室売上8,000ドルの場合は以下の通りとなります。

ADR = 総客室売上高 / 販売客室数

ADR = 8,000ドル / 販売数50室

ADR = 1部屋販売あたり160ドル

同じホテルで、例えば1月の平均稼働率が55%、1月の総客室売上が25万ドルだった場合、1月のADRは以下の通りとなります。

ADR = 250,000 ドル / (100 室 x 31 日 x 60%)= 250,000 ドル / 販売客室数 1,860 室= 1部屋販売するごとに134.41ドル

目標ADRを設定することで、価格管理はもちろん、ゲストの層ごとに異なる価格戦略やプロモーションを考えることが可能になります。言うまでもありませんが、ADRは高いほど良いとされています。ただし、ADRの指標には限界があり、どこまでも上を目指せるものではありません。なぜなら、ADRの計算は収入の特性の全てを反映するものではないからです。ADRが高くても、実際には稼働率が低下し、全体の収益が低くなっているだけであるケースもあります。例えば、ADRが300ドルであっても、予約数が10室であれば総収入が3,000ドルしかありません。ADRが重要なのは、ADRがホテルの財務パフォーマンスを測る指標であり、そのパフォーマンスをさらに競合他社との比較に役立てることが可能な点にあります。ADRを把握できていなければ、収入が増減する際の正確な分析ができなくなります。

平均して客室単価がいくらなのかを知ることで、「単価を上げることにフォーカスすべきなのか、稼働率を上げることにフォーカスすべきなのか」などの見極めが可能になります。

参考記事:中小規模ホテルの客室平均単価を上げるレベニューマネジメント5つのヒント

3.販売可能客室数あたり客室売上(RevEVPAR)

利用可能客室数あたりの収入を示す指標のことを、RevEVPAR (Revenue per available room) と言います。客室が稼働しているかどうかに関わらず、利用可能な客室1室あたりに発生する1日あたりの平均客室売上を計上することでREVPARは算出されます。この指標には、飲食、スパ、小売など、宿泊以外の収益は含まれません。純粋に「宿泊」で売り上げた金額のみを見るのがREVPARの特徴ですね。

計算方法(測定したい特定の期間がある場合)

1. RevPAR = 総客室売上高 / 総利用可能客室数

2. RevPAR = ADR x 稼働率

計算例

100室の物件で、平均稼働率が80%、ADRが150ドルの場合、当日のRevPARは以下のように計算できます。

RevPAR = ADR x 稼働率= 150ドル/1泊×80%稼働率= $120 

RevPAR = 総客室売上高 / 総利用可能客室数= 総客室売上高12,000ドル/100室= $120

ちなみに、RevPARでは測ることができない部分もあります。というのも、競合するさまざまなホテルをRevPARで比較する際、ホテルの規模つまり客室数を反映することはできないからです。わかりやすく例を挙げて解説しましょう。あるホテルのRevPARが比較的低くても、そのホテルの客室数が500室あり、そのうち200室がプレミアム料金で宿泊できるとなれば、客室総売上はさらに高くなる可能性がありますよね?RevPARは、売上高や客室販売単価などの利益に関する情報を使用せずに算出するため、ホテルの収益性自体を測定することができない点は覚えておく必要があります。

この指標が重要な理由

料金もしくは稼働率、またはその両方が平均的に上昇することでRevPARは増加します。つまり、RevPARの増加は、ホテルが客室を満室にすることの成功を意味しているのです。

4.平均稼働率(AOR -Average Occupancy Rate )

AORとは平均稼働率のこと。稼働率とは特定期間において利用可能な客室のうち、予約で埋まっている客室の占める割合を意味します。AORは、客室数の合計÷利用可能客室数の合計で算出されます。

計算方法

稼働率 = 有料客室数 / 利用可能客室数

または

稼働率=利用可能客室数あたりの売上高/ADR

この指標が重要な理由

一般的に考えれば、ホテルは稼働率が高ければ良いとされます。当然稼働率の低いホテルよりも高いホテルの方が多くの収益を得ることができているはず。しかし、稼働率を上げるために大幅に値下げをしている場合は必ずしも「ホテル運営がうまくいっている状態」とは言えません。たくさんの人によって生み出された光熱費、人件費、リネンコストなどを考えると、稼働率中心のビジネスでは十分な利益が得られない。また、稼働率はホテルの人員配置などを決定する際にも非常に重要な意味を持ちます。

5.マーケット浸透度指数(MPI - Market Penetration Index)

MPIとはマーケット浸透度指数のことを指します。これだけでは少し分かりづらいですよね。簡単に言ってしまうと、MPIは「ホテルがマーケットにおいてどのあたりに位置付けしているのか」を見るための指標です。マーケットにおける位置付けを理解することで、競合ホテルとの比較や、エリアにおけるホテルのシェアが測定しやすくなります。

計算方法  
ホテル稼働率% / 市場稼働率

この指標が重要な理由

MPIは、マーケットにおけるホテルの優位性と需要を理解する指針。マーケットにおいてあなたのホテルの需要が増加すれば収益も当然増加します。ホテルを客観的に見る上で欠かせない数値と言えるでしょう。

6.平均客室単価指数(ARI - Average Rate Index)

ARIとは平均客室単価指数のこと。ホテルの平均客室単価が、競合ホテルと比較してどうなのかを測定するのに使われる指標です。

計算方法  ホテルのADR / ホテル市場のADR

ADR指数が100であれば、集計されたホテルグループと比較しても、ホテルの客室単価は公正であると判断できます。また、100より大きいADR指数は、集合的なグループのADRパフォーマンスの公正なシェアより大きいことを表し、100以下のADR指数は、集約されたグループのADR実績の公正なシェアより少ないことを意味します。

この指標が重要な理由

ARIは、ホテル市場における正しい価格設定の指標を知る上でとても重要です。また、競合ホテルとの価格差を適正であるか判断する際にも有効。宿泊料金を値下げするか値上げするかを決める際に、必ずチェックすべき重要な数値です

7.予約1件あたりのマーケティングコスト (MCPB - Marketing Cost Per Booking)

MCPBは予約1件あたりのマーケティングコストを示す指標です。MCPBでは、どのチャネルにおいていくらのコストを投資し、どれだけの生産量を生み出したかを算出していきます。これにより、マーケティングキャンペーンの費用対効果を正確に分析し、評価することが可能になります。MCPBを把握することで、ホテルマーケティングキャンペーンを調整し、顧客獲得や収益UP、さらに投資利益率を数値として示したROI(Return On Investment)の観点においても完璧なバランスを取れたものに仕上げていくことができます。

各チャネルごとにいくらのコストを投資し、リターンがどれだけ得られたかをデータ化します。収益の10%から50%までの幅広いコストがかかります。

各チャネルごとにいくらのコストを投資し、リターンがどれだけ得られたかをデータ化します。収益の10%から50%までの幅広いコストがかかります。

この指標が重要な理由

MCPBを把握しなければ、ROIの測定が不可能になります。そして、このチャートが示すものは計算上の売上総利益の巨大な要因となる集客コストです。目標は、需要を認識し予約を増加させること。つまり、収益を増加させるためには Emailや公式サイトなどのすべてのチャネルを探索する必要があるのです。MCPBスコアが高すぎる場合は、そのチャネルにおけるマーケティングを見直し、よりMCPBの低いチャネルにコスト投資を行うなどの調整をしていきます。

8.直接予約率

直接予約率は、売上において直接予約が占める割合と、他社予約サイトが占める割合を比較するものです。これは、Booking.comのようなOTA(オンライン旅行代理店)と比較して、自社のウェブサイトからどれだけの収益が上がっているかを調べる方法です。

この指標が重要な理由

ホテルの収益を最大化するためには、少なくとも40%の収益を自社のホテルウェブサイトもしくはブッキングエンジンから得る必要があります。なぜなら、旅行代理店やその他OTA経由の予約は手数料が高額で、全体の利益を減少させてしまうからです。一方、直接予約の方は手数料が発生しないため、ホテルとしてはメリットしかありません。だからこそ、直販比率は高ければ高いほど良いとされているのですね!

WASIMILの予約システムはシステム手数料が無料です。直販率を引き上げれば上げるほど、ホテルのレベニューもUPします。

参考記事:手数料無料の直販をより多く

9.ウェブサイトコンバージョン率

ウェブサイトコンバージョン率とは、ウェブサイトに訪れた人の中から、実際に宿泊予約に至った数を計算するものです。ホテルの収益は、潜在顧客がオンラインでホテルをリサーチするところから発生します。ホテルのデジタル・フロントドアの役割を果たすウェブサイトは、どのマーケティング資産よりもゲストの印象に影響を与えます。ホスピタリティ・タイムズによると、ホテルのウェブサイトの平均コンバージョン率は約2〜3%と言われています。言い換えれば、ホテルのウェブサイト訪問者の約97%が、予約をせずに去っていることになります。かなり拾えていない印象ですね。

この指標が重要な理由

サイト訪問者のより高い割合を予約に繋げることこそが、収益におけるMCPBのコストを削減するために重要です。また、コンバージョン率は、訪問者がどのようにウェブサイトと関わり、どのような施策が訪問者の関心を惹きつけているのかを知る手がかりにもなる重要な指標です。

10.セグメンテーション

セグメンテーションデータは、顧客セグメントに対するパフォーマンスを表しています。消費者の80%が、パーソナライズされた体験を提供してくれる会社から購入する可能性が高いと回答しています。顧客のコンバージョンを維持するためには、顧客の要望やニーズに応える必要があります。そこで登場するのが、顧客セグメンテーション。基本的に顧客セグメンテーションとは、顧客を特定の特徴に基づいてグループに分け、より効果的にマーケティングを行うことを意味します。

ここで、具体的にセグメンテーションの例を挙げて解説していきましょう。

団体利用

最低10室以上の客室を一括して販売する団体利用のこと。代理店やツアー団体に適したターゲットです。ホテルは客室をグループにしてパッケージを提供することができます。

ビジネス・ゲスト利用

ビジネス・ゲスト利用の顧客。このグループの顧客は、必要とする特定のこまかなサービスやケアなどに興味を示すことが多いです。「こんなサービスがあったら嬉しいな」と思うサービスやプランがあれば、あなたのホテルにますます忠実な顧客となってくれるでしょう。

トランジェント(短期滞在)

トランジェントルームとは、正規料金、提携価格、交渉価格、パッケージ料金、パーマネントゲスト、政府関係者、外国人旅行者などの予約で使用されている部屋です。また、直販予約のみでなく、他社サイト経由の予約も含まれます。

効果的なパーソナライゼーションは、もはや特別なことではなく、なくてはならない必要不可欠なものと言えます。State of Marketing調査によると、BtoBマーケッターの内、予測知能もしくはデータサイエンスを活用してパーソナライズされたメールを作成しているのは37%に過ぎないことが分かっています。

(画像出典:Convince&Convert)

さらに言うと、イベントに基づいてリアルタイムメールを配信している割合はさらに低く30%。たったの3割です。つまり、あなたのホテルがこれらのセグメンテーションを入念に行い、パーソナライズ化されたオファーを企画実行することで、競合ホテルに大きく差をつけることが可能になるとも考えられます。

この指標が重要な理由

セグメント化されたデータは、どのような訪問者がホテルのゲストもしくは収益のベースを構成しているかについての分析を可能にするだけでなく、団体客と一過性のゲストとの間の明確なパターンをも示すことができます。例えば、過去のデータから団体客が少ない日があれば、それは今後の焦点になるかもしれません。また、旅行先のエリアで開催されたイベントによって大量の団体客が訪れその地域のホテルが高い稼働率を示したこともデータで確認できるかもしれません。ゲストのセグメントごとに動向をしっかりと把握し、パターンを見つけ出すことで、戦略的に立ち回ることが可能になるでしょう。

また、セグメンテーションと密接な関係があるのが「ペルソナ設定」。なぜなら、ペルソナの特性を含めた上でセグメント作成を行うからです。あわせて、ペルソナ設定に関しても今一度復習しておくと良いでしょう。

参考記事:ホテルマーケティングにおけるペルソナの重要性と設定方法

まとめ

中小ホテル経営者に共通する問題は、忙しい毎日の中で、どのようにしてデータ分析を正確にかつ入念におこなっていくかではないでしょうか。実際、KPIを全て手作業で把握し続けることは非常に困難で骨の折れる作業です。本記事で紹介したKPIを可能な限り効率的に追跡するためには、テクノロジーの導入をおすすめします。今日のテクノロジーを使えば、KPIのモニタリングと分析はこれまでにないほど簡単に行うことができます。必要なのは、毎日10分程度、潜在的な機会やリスクについてデータを評価・分析する時間を確保することです。リアルタイムのKPIにアクセスすることで、ホテルはより多くの収益を獲得し、コストを削減しつつ利益を最大化するための施策を打ち出すことが可能になります。

WASIMILは、ホテルの顧客管理から収益管理まで、さまざまなデータを一括して管理することができるシステムです。人件費削減、スピーディーな分析を可能にするため、ぜひあなたのホテルでもWASIMILの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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