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ホテル運営

サステナブルなホテル経営・集客アイディア10選

Written by:
Sae Watral
December 28, 2023

新たな観光スタイルとして、ホテル業界でも注目されている「サステナブルツーリズム(持続可能な観光)」への需要が、コロナ禍でさらなる高まりを見せています。
Booking.comの「2022年の「サステナブル・トラベル」に関する調査結果」では、8割以上が、サステナブルな旅行を優先する意向を示しました。
また、以前から環境保護やサステナブル投資に関心が高いといわれていたミレニアル世代に加え、最近では、中高生が一般社団法人「Sustainable Game」を設立するなど、より広い世代でサステナビリティが支持されはじめています。
ミレニアル世代をはじめ、若い世代の顧客や環境意識の高い顧客層をホテルに集客していく上で、サステナブルを意識した取り組みや、サービスの提供が必要不可欠といえるでしょう。

こうした顧客の指向性を意識して、ホテル運営を行っていくことは、自社ホテルのブランドを確立するとともに、より、ターゲットを絞ったホテルマーケティングを実践することにもつながります。

これまでWASIMILブログでは、例えば、閑散期などに実践できるホテルへ集客するアイデアを紹介してきました。
では具体的に、サステナブルツーリズムに関心の高い顧客層をホテルへ集客するアイデアとして、どのようなこと ができるのでしょうか?
この記事では、中小規模のホテル・旅館で簡単に取り入れられる、サステナブルツーリズムのアイディアをご紹介していきます。

ホテル業界注目のサステナブルツーリズムとは?

サステナブル ホテル - ホテル業界注目のサステナブルツーリズムとは

ホテル業界で注目されている「サステナブルツーリズム」とは、観光地本来の姿や資源を持続的に保てるように配慮した「持続可能な観光」を意味します。
サステナブルツーリズム=自然環境保護、というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、実はそれだけではありません。
交通渋滞、騒音、ゴミ問題など、地域住民の生活環境への悪影響を極力減らすことや、地域文化や経済の活性化といった、旅行者だけでなく、旅先に住む人々の生活も豊かになるように配慮した観光全般が、サステナブルツーリズムなのです。
海外、とくにヨーロッパではサステナブルツーリズムの人気が高く、その流れを受けて、近年ではBooking.comなどの大手OTAもサステナブルツーリズムを奨励する取り組みに力を入れています。

日本でもサステナブルを導入するホテルや、サステナブルホテルが話題になってきましたが、グローバル市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルが2020年に実施した「持続可能な観光トップ国」の調査によると、日本の順位は世界53位。
アフターコロナのサステナブルツーリズム需要には、まだまだ足りないというのが現状です。

サステナビリティを意識したホテル経営の必要性

サステナビリティを意識したホテル経営は、アフターコロナのホテル集客にとって、大きなプラスになることが予想されます。
たとえば、ILTM (International Luxury Travel Market)が2020年10月に発表したトレンド分析「Global HEATMAP」では、今後1年間の富裕層の旅行意向について、つぎのような回答が見られました。

  • 9割近くがサステナビリティを重要視
  • 35%がサステナブルなブランドやサービスに、10%余分に支払ってもかまわないと回答

旅行需要回復を担うカギとなるのは、富裕層とミレニアル世代といわれており、サステナビリティへの関心がもっとも強いのも、この層の旅行者たちです。
サステナブル意識の高い海外からのゲストや、ミレニアル世代のサステナブルツーリズム需要を満たすことは、これからのホテル・旅館にとって非常に重要な課題といえるでしょう。

日本国内で人気のサステナブルホテルの例

ホテル 集客アイデア - 日本国内のサステナブルホテルの例

サステナブルホテルは、とくにヨーロッパで高い支持を得ていますが、最近では日本でも話題になる機会が増えてきました。
世界で唯一のBIO(=オーガニック)基準を規約とする、「ビオホテル協会(Die BIO HOTELS)」が認定した本格的なビオホテルはもちろん、より気軽なサステナブル体験を提供する宿泊施設も国内に多く登場し始めています。

このような宿泊施設の等身大のサステナツールズムの施策事例は、中小規模ホテル・旅館にとって、アイディアの宝庫です。
人気の高いサステナブルホテルでは、どのような取り組みがされているのかを調べて、あなたのホテルで取り入れられるものがあれば、積極的に真似していきましょう。

国内で人気のサステナブルホテルの例

中小規模ホテルにおすすめ!サステナブルなホテル経営のアイディア

中小ホテルにおすすめサステナブルなホテル経営のアイディア

あなたのホテルで、お客様にサステナブル体験を提供するために、具体的にどのようなことができるでしょうか?
中小規模のホテルで比較的簡単に取り入れられる、サステナブルなホテル経営のアイディアをご紹介していきます。

1.チェックインのペーパーレス化

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの1つめは、チェックインのペーパーレス化です。
チェックイン・チェックアウトをタブレットやスマートフォンでのセルフチェックインに変えることで、紙資源のムダをなくし、森林資源の保護やゴミの削減につながります
同時に、これまでレジカードに入力していただいた内容を、スタッフがいちいちPMSに入力し直す手間が不要になるため、人件費削減や業務効率化にも役立ちます。
お客様としても、チェックイン・チェックアウトがスムーズにできるのは大きなメリットですよね。
コンタクトレス(非接触・非対面)がニューノーマルになった今、チェックインのペーパーレス化はホテルにとって必須のデジタルトランスフォーメーションといえるでしょう。
気になる費用面でも、セルフチェックインシステムを既存のPMSと連携させれば、低コストで導入が可能です。
WASIMILは、PMSや自社予約システム、CRM、レベニューマネジメントなどの、ホテル運営に必要な機能を一元管理する総合型ホテルシステムなので、セルフチェックインシステムとの連携も簡単にできます。

2.アメニティを選択制に

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの2つめは、客室のアメニティを選択制にすることです。
歯ブラシやくしなど、ホテルのアメニティを使い捨てにするのが贅沢だと思われていた時代もありましたが、人々の贅沢の定義は少しずつ変わってきています。
今では、そういった使い捨てのアメニティを見て、ネガティブな印象を抱くゲストも少なくありません。
例えば、マリオットのような大手のホテルグループでも、予約の際に必要なアメニティを選択するようになっています。
「これって、本当に必要かな?」と、ゲストに考えてもらうことも、サステナブル体験のひとつなのです。

WASIMILの自社予約システムにはアドオン機能が搭載されており、予約の際に追加サービスを販売できるようになっています。
この機能を活用すれば、お客様に必要なアメニティを選択していただいたり、さらには、アメニティの販売をすることも可能です。

3.リネン交換を減らす

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの3つめは、リネン交換の頻度を減らすことです。
洗濯の回数が減れば、水資源の節約になり、環境負荷が軽減されますよね。
ただし、ただリネン交換の頻度を減らすだけでは、クレームになりかねません。
事前にEメールで、ホテルの取り組みを知らせたり、下記のような方法で、お客様に選択肢を提供しましょう。

  • 「ベッドリネン交換不要」のサインを客室に設置
  • タオル交換は、バスルームにバスケットを設置して、ゲストが交換してほしいタオルだけをその中に入れてもらう
  • 連泊のゲストに対して、「リネン・アメニティ交換不要プラン」を提供

お客様自身に「サステナブルな体験をしている」と認識していただくことがポイントです。
事前にEメールで、ホテルのサステナブルなポリシーについて知らせておくのも効果的でしょう。

また、「リネン・アメニティ交換不要プラン」などのキャンペーンを効果的に実施するためには、戦略的なターゲティングが重要になります。
CRMで顧客リストをセグメント化し、よりキャンペーンに関心が高いと思われる顧客層にターゲットを絞りましょう。

4.プラスティックを減らす

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの4つめは、プラスチック製品を減らすことです。
2021年3月9日に閣議決定した「プラスチック資源循環促進法案(プラスチック新法案)」でも、ホテルのプラスチック製アメニティを有料化することが検討されています。
この機会に、「紙カミソリ」や「竹歯ブラシ」などの導入を検討してみるのもいいかもしれません。
特に竹歯ブラシは、環境への配慮だけでなく、使い心地のよさでも、最近人気を集めています。
使い捨てにせず、家に持ち帰って使い続けたくなるアメニティを提供するのも、お客様にサステナブルな体験していただくためのアイディアといえるでしょう。

5.シャンプーはポンプ式に

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの5つめは、シャンプー・ボディソーブをポンプ式にすることです。
ミニボトルの場合、まだ使いかけでもシャンプーを捨てることになりますよね。
また、そのたびにプラスチックを使い捨てにすることに。
使い切りのパウチは一見、ムダがないように見えますが、やはりパウチを使い捨てるので、資源のムダやゴミ問題につながります。
シャンプー・ボディーソープを詰め替え可能なポンプ式にすることで、自然環境に配慮することが可能です。

6.ヴィーガンメニューを取り入れる

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの6つめは、ヴィーガンメニューを取り入れることです。
最近では、動物愛護の理由だけでなく、自然環境保護のためにヴィーガンになる人が増えています。
海外には、ヴィーガン専用のホテルまであるほどです。
今後のインバウンド集客には、ホテルがヴィーガンに対応しているかどうかも、重要なポイントになってくるでしょう。

ヴィーガンメニューを常時提供するのは難しいという場合は、宿泊予約後に、お客様に食事の注意点などをEメールで質問してみてはいかがでしょうか?
そうすれば、ヴィーガンを含め、特別な食事制限のあるお客様に対して、事前に準備しておくことが可能になります。
お客様は、ホテルが自分のことを気遣ってくれているという特別感を感じ、よりパーソナライズされたサービスの提供につながります。

7.朝食ビュッフェは小さなお皿で並べる

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの7つめは、朝食ビュッフェを大皿ではなく、小皿で並べることです。
大皿でビュッフェを提供すると、どうしてもフードロスが出てしまいますよね。
その点、あらかじめ小皿に小分けしたものを並べるスタイルなら、必要な分だけ補充すればいいので、フードロスを最小限に抑えられます。
また、新型コロナウイルスの感染予防策としても有効です。

8.地元の食材を使う

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの8つめは、レストランの食事に、地元の食材を使うことです。
地域住民の生活を豊かにするのも、サステナツーリズムの目的のひとつ。
できるだけ、地域に還元できるよう地元の食材を選び、ホテルのウェブサイトやSNSで、取り組みをアピールしましょう。

9.地元密着型ツアーと提携

ホテルにサステナビリティを導入するアイディアの9つめは、地元密着型ツアーとの提携です。
例えば、地域の伝統文化の体験ツアーなどと提携しパッケージとして販売したり、予約の際にオプションとしてクロスセルすることも。
また、WASIMILのクーポン発行・管理機能を活用すれば、地域イベントの割引クーポンなどを特定のターゲット層に配信し、より特別感のあるマーケティングが可能になります。

10.自転車の貸し出し

ホテルにサステナビリティを導入するアイディア、最後は、自転車の貸し出しです。
自転車は、CO2排出量ゼロの環境に優しい移動手段。
サステナブルツーリズム人気の流れの中で、自転車と一緒に宿泊できるホテルや自転車の貸出をするホテルも増えてきました。
特に海外ではサイクリングの人気が高く、日本国内でも、インバウンド集客の一環として、サイクリストを誘致するためのデスティネーションマーケティングが注目されています。

CRMでサステナビリティに関心が高いと思われるセグメントを作成して、自転車レンタル付きの宿泊パッケージや自転車の無料レンタルクーポン、自転車整備ツールの貸し出しクーポンなどのマーケティング施策を実施してみてはいかがでしょうか。

ホテルのサステナブルな取り組みを集客に活用

サステナブル ツーリズム - 顧客データのセグメンテーション

あなたのホテルでどのようなサステナブルな取り組みをしているのか、SNSやニュースレターなどで積極的にお客様にアピールして、競合との差別化に役立てましょう。
CRMによる顧客のセグメンテーションや、効率的なマーケティングツールを活用することで、より高い集客効果が期待できます。

WASIMILのCRM

ホテルシステムWASIMILのCRMは、性別や年齢といった一般的な属性だけでなく、宿泊回数や最終滞在月、都道府県など、ホテルのマーケティングに役立つ属性により、細かく顧客をセグメント化することができます。
ただ単にデータを収集・分析するだけでなく、そのデータを活用したメールマーケティングを行い、キャンペーンのフィードバックを得るところまで完結できるのが大きな魅力です。

また、効果的なCRMマーケティングに欠かせないデータクレンジングは自動化。PMSや予約システム、レベニューマネジメントシステムなど、ホテル運営に必要な機能が、ひとつのシステムにすべて備わっています。

まとめ

今回は、サステナブル(持続可能)なホテル経営の重要性や、中小規模のホテルで導入できるサステナブルなアイディアについてお伝えしてきました。
人々のサステナビリティへの関心は、さらに高まっています。今後のホテル集客においても、非常に大切なポイントになることは間違いないありません。

まずは、気軽にサステナブル体験ができる、等身大の施策から始めてみましょう。
その際に、CRMやマーケティングツールを活用して、あなたのホテルの取り組みを効果的にお客様にアピールすることが大切です。

ホテルシステムWASIMILは、ホテル管理システムの中でも顧客目線でホテル運営をサポートできるシステムです。
ホテルの集客方法や、サステナブルなホテル経営について、WASIMILにお気軽にご相談ください。

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